【ポイント解説】「経済安保リスク」感覚の違い
LINEの情報漏洩(ろうえい)が起こったのは業務委託を受けていたネイバー100%子会社のさらに「再委託先企業の従業員のパソコン」からだった。以前、データセンターを韓国に置き、中国の委託業者でもアクセスできる状況を問題視し、データセンターを日本に移したという話だったが、システムに接続する際の認証基盤を共通化していたため、どこにデータセンターを置こうが、結局情報は“ダダ洩れ”状態だったわけだ。
「国家情報法」がある中国で政府がデータを出せと言えば拒めない状況や、韓国でまた反日政権ができれば、日本人9600万人のインフラとなっているLINEサービスを人質に取られかねない。だから、この状況は日本の保守界隈での騒ぎのレベルでなく、経済安保から見て深刻だと日本政府も判断したのだ。
それでは資本関係を独立させたらいいかというと、ことはそう単純ではない。LINEサービスの核心部は韓国が握っているためだ。現状で韓国と切り離せば、いま享受しているサービスは止まることになる。
止められないなら、韓国にセキュリティー強化を求めるしかないが、「安いから、早いから」と安易に中国に発注する韓国側の「ケンチャナヨ(気にしない、大丈夫)」精神がある以上、限界がある。
以前、韓国が「ホワイト国」から除外されて大騒動となったが、日本政府は戦略物資の輸出に際して、核兵器に利用され得る素材の行方が不明の疑いがあるとして、その都度、検査する輸出管理見直しを行った。この時、韓国は素材から導き出される製品の総量が合わないことの説明ができなかった。それだけでなく、強硬に反発して反日政策で対抗するという“お門違い”の対応をした。
今回、韓国政府はネイバーの出方待ちだが、ネイバーはSBの動きを見ている。“韓国が育てたLINE”がSBに奪われそうで、それを日本政府が後押ししているとの目線だ。セキュリティーの観点はいつまで経(た)っても韓国企業には根付きそうもない。(岩崎 哲)





