韓国総選挙 与党が歴史的敗北 尹氏「植物大統領の恐れ 日韓改善など外交路線維持か

10日に実施された韓国総選挙では、保守系の与党・国民の力が108議席にとどまり惨敗、革新系の最大野党・共に民主党が単独過半数の175議席を獲得して圧勝した。国会は過去最大差のねじれとなり、歴史的敗北と言える。
韓国の尹錫悦大統領(右)と握手する 韓日議員連盟の鄭鎮碩会長=2022年11 月、ソウル近郊(EPA時事)

ここまで与野党の明暗が分かれるとは誰も予想しなかった。李在明代表をはじめ共に民主党の指導部ですら過半数の151議席に少し上積みしたいという控えめな期待を抱いていた。予想外の圧勝に驚いている様子だ。

与党はショックを隠せない。韓東勲・非常対策委員長は11日、惨敗の責任を取って辞任すると表明。自らの次期大統領候補としての可能性にも影響が出そうだ。

わずか1カ月半前までは各種世論調査で与党有利だった。だが、その後、尹大統領は昨年起きた海兵隊兵士の死亡事故を巡る捜査に圧力をかけた疑いのある李鐘燮前国防相のオーストラリア大使任命を強行しようとし、世論の強い反感を買った。将来的な医師不足に備え、大学医学部の定員を拡大する方針を発表したが、反発した医師たちとの対立も収拾できないまま総選挙を迎えた。尹政権への失望感が国民の間に増幅していたのは確かだ。

その間隙を縫うように登場したのが●国元法相率いる「祖国革新党」だった。子供の不正入試事件などで●氏自身が有罪判決を受け、妻も服役したが、国民は不正に対する義憤より既に制裁を受けたことへの同情心を抱いていたようだ。「疑惑まみれの李在明氏に嫌気が差した一部の革新層や浮動層が●氏に鞍(くら)替えした」(政治評論家)結果、与党はカギを握る浮動票を逃した可能性がある。

今後、ねじれ国会では野党が主導権を完全に握る。政府・与党が主導する各種法案がことごとく否決されるなど、尹政権の国政運営にも支障が生じる可能性が高い。尹氏の残り任期約3年はレームダック(死に体)化が加速し、「植物大統領に転落する」(韓国紙・京郷新聞)との厳しい見方すら出ている。

ただ、得意の外交は既存路線が踏襲されるとみられる。改善ムードを定着させた日韓関係ではさらに未来志向の協力を進め、北朝鮮の武力挑発や中国の覇権主義を抑止する日米韓3カ国の連携も強化していくことが予想される。

(ソウル上田勇実)

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