【ソウル上田勇実】4年に1度の韓国国会議員選挙(定員300)が10日投開票され、午後10時半現在、保守系の与党・国民の力は地域区・比例代表を合わせ122議席と予想され、敗北が濃厚になっている。これに対して革新系の最大野党・共に民主党は単独過半数を上回る161議席の見通し。国会のねじれ状態が続けば、尹錫悦政権の国政運営がさらに難しくなるのは必至だ。
今回の総選挙で「台風の目」とみられていた曺国元法相を代表とする革新系の祖国革新党が11議席で躍進し、第3党になる見通し。投票率は前回2020年を上回る67・0%(暫定値)。
今回の総選挙は、尹政権発足から約2年経過した時点で行われた事実上の中間評価。国民は物価高など経済的負担に不満を抱いていた上、尹大統領の政策や人事を巡り一部で「独善的」との指摘も上がっていた。共に民主党の李在明代表は選挙期間中、有権者に「政権審判」を訴え続け、結果的に受け入れられた形だ。
一方、与党は検察出身でもある韓東勲・非常対策委員長が、各種疑惑で起訴された李代表や有罪判決を受けた曺氏の指導者としての資質を問題視し、逆に「犯罪集団の審判」を前面に掲げたが、浮動層や若者にその問題の深刻さが浸透し切れなかったとみられる。
先月発足したばかりの祖国革新党は比例代表だけに候補者を擁立し、高い政党支持率を得て複数の元左翼運動家を確実に当選させる戦略を取った。今後、共に民主党と協力するものとみられ、法案処理など国会運営で与党に立ちはだかる可能性が高い。
共に民主党が祖国革新党など他の革新系野党と合わせて200議席を獲得した場合、大統領が持つ法案拒否権を無力化できる上、尹大統領に対する弾劾訴追も可能になる。
午後6時(日本時間同)の投票終了直後の地上3波による出口調査では、国民の力が87~105議席、共に民主党が178~196議席で与党惨敗が予想された。