トップ国際朝鮮半島【韓国紙】映画『建国戦争』 李承晩元大統領を見直す

【韓国紙】映画『建国戦争』 李承晩元大統領を見直す

【ポイント解説】棺を蓋いて事定まらず

割愛したが記事の前半ではパク・ヒジュン論説委員が、ワシントン特派員時代、米バージニア軍事学校を3度訪ね、韓国動乱当時、米8軍司令官として韓国の陸軍士官学校設立にも寄与し“韓国軍の父”と評価されるジェームズ・ヴァン・フリート将軍が残した記録物の中から、初代大統領李承晩夫人フランチェスカ女史の手紙12通を“発掘”し、初めて韓国に紹介したエピソードが記されている。

ハワイに亡命し客死した李承晩が故郷を懐かしがっていた様子が伝えられると、ネットでは非難の声が溢(あふ)れた。「上海臨時政府が送る独立資金で米国で贅沢(ぜいたく)三昧し、光復(解放)後、金九(キムグ)先生を押し除けて大統領を横取りしたり、韓国動乱の時、漢江の橋を落として先に疎開した“逃げスンマン”ではないのか」と。これらの非難は2012年に制作された左派色の濃いドキュメンタリー『百年戦争』の影響を受けたものだろうとパク委員は言う。これは李承晩を「不道徳なプレーボーイ」などと描き、公正性・客観性・名誉棄損などが問われて裁判にもなった。

韓国の現代史を変えた数々の事件、朴正熙大統領暗殺(1979年)、粛軍クーデター(同)、光州事件(1980年)、6月民主化抗争(1987年)等々は左派が政権を掌握してから彼らの観点で書き換えられ、映画が次々に作られていった。最近では『ソウルの春』で全斗煥保安司令長官が悪辣(あくらつ)な人物として描かれている。

しかし、その流れも変わりつつある。保守政権になったことが影響しているのだろうが、この『建国戦争』のように左派史観で歪曲(わいきょく)された事件や人物像の再々評価が行われているのだ。「長い間、李承晩を誤解していた」「自分が恥ずかしい」という感想が多いという。教員組合による歴史教育がどれほど歪(ゆが)んでいたかを韓国民はいま知ることになっているわけだ。

だが、こうして政権交代で歴史の評価がころころ変わるようでは死者もおちおち眠ってはいられないだろう。「棺を蓋(おお)いて」も評価が定まらないのだから。

(岩崎 哲)

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