「必ず結婚」はわずか3割。韓国の青少年、「結婚・出産」に希望持てず

韓国の有名な観光地「明洞」。多くの若者が露店を出していつも賑わっている(2023年10月26日撮影)
韓国の有名な観光地「明洞」。多くの若者が露店を出していつも賑わっている(2023年10月26日撮影)

「結婚したら出産」は2割

抜け出せぬ超少子化

かつて英オックスフォード人口問題研究所から「22世紀に地球上から最初に消滅する国」と指摘され、現在も世界一の少子化が続く韓国。このほど青少年に結婚・出産観を尋ねる調査結果が公表され、追い打ちをかけるように衝撃が走った。そこには結婚にも出産にも前向きになれない実態が浮かび上がっている。(ソウル・上田勇実)

韓国青少年の結婚観と子供に対する価値観
韓国青少年の結婚観と子供に対する価値観

政府系シンクタンクの韓国青少年政策研究院は、全国の小中高校生7718人(男子3983人、女子3735人)を対象に実施(昨年5月~7月)した設問調査を報告書「2023青少年価値観調査研究」にまとめ、先週公表した。

それによると、「結婚は必ずしなければならないと思うか」の問いに「思う」と答えたのは全体の29・5%にとどまり、「思わない」が7割を超えた。約10年前の2012年の調査では逆に7割以上が「思う」と答えていたため、「結婚は必須」という価値観が青少年の間で急激に減退していることになる。

男女別では女子の方が結婚に消極的だった。今回の調査では「必ず結婚する」が全体の18・8%にすぎず、男子の39・5%より20ポイント以上低かった。かなり後ろ向きであることが分かる。

また「結婚したら出産すべき」という項目に同意した人は19・8%。「結婚しなくても子供をもっていい」が6割に達し、結婚と出産を同一視していないことも浮き彫りになった。

これまで韓国では長い間、「男女とも適齢期に結婚して子供を産み家庭を築く」ことが当然視され、独り身は肩身が狭い思いをするのが一般的だった。特に韓国の場合、儒教的な考え方が根強い影響もあったとみられる。

ところが近年、結婚・住居・子女教育などにかかる経済的負担が重くのしかかり、若者が結婚・出産を忌避する傾向が強まっている。これに加え女子は、社会進出に伴い経済的自立に自信を抱くようになり、出産などによる経歴断絶を嫌う人も増えている。

今回の調査は、こうした考え方がこれから適齢期を迎える青少年たちにも浸透していることをうかがわせている。

青少年たちの認識がこのまま続けば、少子化に歯止めをかけるどころかさらに少子化が進み、「超少子化状態」から抜け出せなくなる恐れがある。

満15~49歳の女子の年齢別出生率の合計である合計特殊出生率は、15年(1・24)から減少の一途をたどり、22年は0・78まで落ち込んだ。特別・広域市と各道ごとに見ると都市部の低さが際立っており、首都ソウルは全国最低の0・59。物価や教育費が高い人口密集地での出産減が進んでいる。

韓国の合計特殊出生率の推移
韓国の合計特殊出生率の推移

今後、少子化の影響として懸念されるのはやはり経済萎縮だ。大韓商工会議所の分析によると、生産活動に必要な資本や労働力などを最大限活用した場合に達成できる経済成長率を示す潜在成長率は、現在の1・9%から40年には0・7%まで落ちるという。

一方、韓国青少年政策研究院の調査では、同性婚に対する認識の変化も読み取れる。「同性婚を認めるか」の問いに「認める」が52・0%に達した。世界的にも同性愛反対が根強いと思われてきた韓国だったが、青少年の意識は変わり始めているようだ。

尹錫悦大統領は先日、少子化問題と関連し「首都圏集中と過度な競争が深刻な少子化の原因」と指摘した上で、「地域均衡発展で地方の時代を開き、合計出生率1・0人を回復するのがいつにも増して重要で優先すべき国政目標だ」と述べた。

韓国にとって少子化問題は、北朝鮮の脅威に対抗するのに勝るとも劣らぬ問題。歴代政権は声高にその改善策を打ち出し、出生率アップを呼び掛けてきたが、いまだ解決の道筋は見えていない。

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