【ポイント解説】“第三地帯”に注目する
民進党と国民党の二大政党による政権交代が続く台湾で、第3の政党は両党どちらかの票を食い散らかすだけの役割しか果たしてこなかった。だが今回の柯文哲氏の民衆党は「民進か国民か」の選択でなく、世代間の選択差となって表れたようだ。4月に総選挙を控える韓国としても、いわゆる「第三地帯」と言われる与野2党以外の勢力の動向が選挙戦を左右するかもしれない、という問題意識で台湾総統選を眺めたことだろう。記者の関心もそこに注がれている。
台湾の選挙と言えばこれまで、対中国路線が大きな課題として争われてきた。そのため「中国」が大きな変数として働いたのだが、柯文哲氏が予想を大きく上回る26%台の得票率を得たのは、争点がそこにはなく、生活問題なかんずく青年層の未来像が問われたと言ってよい。対中問題はその未来の中の一つだ。
柯氏は反中かと思えば「両岸は一つの家族」として対中対話推進を打ち出したり、奔放な発言が既成政治を嫌う若者の支持を受けた面もあるが、その一方で「核心的価値観がない」との批判も聞かれる。
韓国の総選挙では与野党ともに離党して新党を結成しようとする勢力がおり「第三地帯」が形成されようとしている。与党国民の力からは元代表の李俊錫氏が、野党共に民主党からは元首相の李洛淵氏が党を離れて新勢力を立ち上げる動きを見せる。
そして、同じように韓国も若者の就職、住宅、さらに結婚問題などを抱えており、柯文哲氏で示された台湾の“第三の選択”は総選挙の動向を占う上で無視できないもの。柯氏への批判評価はそのまま韓国の第三地帯を担う中心政治家たちにも問われていくことになるだろう。特に「核心的価値観」を示せるかどうか、韓国の若年層も注目するところだ。(岩崎 哲)





