韓国左派 町内会“乗っ取り”親北化 住民掌握の法案・条例が物議

一 昨 年 10 月 、 「 住 民 自 治 基 本 法 案 」 を 代 表 発 議 し た 金 永 培 「 共 に 民 主 党 」 議 員 の 事 務 所 前 で 抗 議 の 記 者 会 見 を す る 李 熙 天 氏 ( 李 氏 提 供 )

不動産や捜査を含む個人情報が吸い上げられて一元管理され、自宅から離れた勤務先で仕事をしている間に居住地にある工場で働く他人が自分の代わりに町内会で重要案件の投票をしたとしたらどうなるか――。韓国各地で自由民主主義に取って代わり全体主義を推し進めるかのごとき法案や条例が物議を醸している。その驚愕(きょうがく)の中身を紹介する。(ソウル・上田勇実)

韓国の情報機関で長年、職員の思想教育を担当した李熙天氏は一昨年2月、元上司から「国会でおかしな法案が発議されたので、内容を精査してほしい」という依頼の連絡を受けた。法案とは、北朝鮮に融和的な左派系与党(当時)「共に民主党」の金永培議員が代表発議した「住民自治基本法案」。中身を見た瞬間、李氏は「この法案が国会で成立したら、全国の町内会が親北左派活動家に牛耳られ、体制転覆への道さえ開かれると思った」という。

法案の趣旨は、全国に約3500ある小規模な行政区画「邑・面・洞」ごとに「住民自治会」(執行機関)と「住民総会」(議決機関)を新たに設け、これを中心に町内会を運営し、地域社会の問題を解決したり、住民の生活を向上させようというもの。一見もっともらしいが、そこには「驚くべき毒素条項」(李氏)がある。

法案の第7条「住民の資格」は、該当行政区域内に住所地を置く「機関や事業体に勤務する人」や「小中高等学校に所属する学生と教職員」、さらに「永住権取得後3年を経過し該当自治体の外国人登録台帳に記載されている人」などにも住民の名で各種議決の投票権が付与されるとしている。

多くの社会人は自宅から離れた場所に勤務地があり、平日の昼間は自宅に不在がちだ。その結果、自宅周辺の会社や工場で働く従業員や学校に通う教師・生徒が自分の代わりに投票権を行使できるようになる。あたかも「真の住民」がいない隙に「偽りの住民」が勝手に町内会の問題を決めてしまうこともあり得るわけだ。

過激デモや戦闘的な政治闘争で知られる全国民主労働組合総連盟(民主労総)の傘下労組員や親北反米の理念教育をする全国教職員労働組合(全教組)の教師が「住民総会」を掌握することも可能だ。

また第10条には個人情報収集に関する内容が記されている。「住民自治会は関係中央行政機関の長、地方自治体の長に姓名、住民登録番号、住所および電話番号(携帯電話を含む)など人的情報の提供を要請し活用でき、要請された者はそれに従わなければならない」(6項)とある。

「住民自治会」は「何年も前からその町内に入り込んだ筋金入りの親北左派活動家が牛耳っている場合が多く、小さな住民自治会が一国の長官や自治体トップたちに住民の個人情報を教えるよう指図できる」(李氏)ようになった場合、親北左派が個人情報を悪用し住民を懐柔・脅迫することも可能だ。

町内会“乗っ取り”とも言える同法案の隠された意図に気付いた李氏は、本や小冊子を執筆し、全国を回って講演。有志たちにも呼び掛けて反対活動を展開した。それが功を奏し、結局、同法案は取り下げられた。

国会は「共に民主党」をはじめ左派系議員が過半数を占め、採決すれば法案成立は確実だったが、反対世論が高まれば翌年(昨年3月)に控えていた大統領選で不利になると判断したためとみられている。

spot_img
Google Translate »