トップ国際朝鮮半島“勝てば満点”の論理がはびこる政治

“勝てば満点”の論理がはびこる政治

【ポイント解説】選挙目当てのポピュリズム

政治は選挙目当てのポピュリズムばかりに走り、国家百年の大計など立てようもないのは日本も韓国も同じようなものだ。来年4月に総選挙を控える韓国では与党から“国民受けを狙った”とも取れる政策が出てきた。金浦市をソウルに編入する「メガソウル」構想だ。

これを進めようとする国民の力に対して、本来なら「地方自治」や「均衡発展」を唱えてきたはずの野党共に民主党は基本的には反対なのだが、編入を望む有権者を意識してか、いまいち歯切れが悪い。

当事者の意見は分かれている。金浦市民の68%は編入賛成だが、反対も3割に達しており、しかも賛成の中に「拙速だ」との懸念の声もある。また、現在金浦市が属している京畿道が道民を対象に行った調査では6割が反対だった。

一方、政界ではそんなことはお構いなしに与党が編入に向けた特別法案を国会に提出する。ただ、国会は民主党が多数を占めており、同党の協力なしには法案成立の見通しが立たない。この状況から、与党は最初から通る見込みのない法案を出して、否決されれば野党のせいにする魂胆ではないのか、との批判も出ている。

与党にも反対の声がある。特に与党系の首長たちはソウル一極集中を加速させるだけで、地方は置き去りにされると猛反発。都市と地方の不均衡をどう解消するのか、等々の対策も練らないまま、拙速に進めようとする中央のやり方に疑義を唱えている。

このような状況で民主党はどう出てくるのか、というのが関心の的だ。選挙は勝たなければならない。党の哲学を曲げようとも勝てば満点なのである。そして勝つためには「メガソウル」でなく、その上を行く「グレートソウル」まで出しかねないと記者は予測する。もしそうなら韓国政治のポピュリズムはここに極まれり、となる。

(岩崎 哲)

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