高麗仏像「観世音菩薩坐像」は日本の手に

「観世音菩薩坐像」(韓国大田地方警察庁提供・時事)
「観世音菩薩坐像」(韓国大田地方警察庁提供・時事)

大法院が観音寺の所有権認定

日本対馬の観音寺にあったが窃盗犯によって韓国内に持ち込まれた高麗時代の仏像「観世音菩薩坐像」の所有権が7年の訴訟の末に日本のものであることで落ち着いた。

大法院(最高裁)は26日、忠清南道瑞山の浮石寺が国を相手に起こした観世音菩薩坐像引き渡し請求訴訟の上告審で原審(2審)の原告敗訴判決を確定した。仏像が高麗時代に略奪され日本へ不法搬出された可能性があっても、取得時効が完成されて所有権が移ったという主旨だ。

大法院は「国際私法第12条により観音寺の取得時効完成の可否を判断する準拠法である日本の民法によると、観音寺が仏像を時効取得したものと見られ、原告(浮石寺)は所有権を喪失した」とし、原審判決の結論が正当だと見て浮石寺の上告を棄却した。

仏像が高麗時代、倭寇に略奪されて不法に搬出された蓋然()がいぜn性があるとか、韓国の文化財という事情だけで、このような取得時効の法理を破ることはできないということだ。同事件に適用された日本の旧民法は「20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有する者はその所有権を取得する」と定めている。

観世音菩薩坐像は高麗時代、浮石寺で造られた。1951年に、仏像内の伏蔵遺物から「1330年2月、瑞州浮石寺で観音像を作る」という文句が発見された。瑞州は瑞山の高麗時代の名称だ。「高麗史」は「1352~1381年、倭寇が瑞州一帯を5度侵略した」と記録している。瑞山浮石寺は14世紀後半、倭寇がこの仏像を略奪して行ったものと見て、2016年4月、国を相手に「有体動産引渡し民事訴訟」を起こした。

17年1月の1審では「倭寇が略奪など正常でない方法で仏像を持っていったと見るのが正しい」と、浮石寺側の手を上げたが、今年2月の2審では、観音寺が「60年間、平穏かつ公然に仏像を占有してきた事実が認められ、所有権の取得時効が完成された」として1審判決を覆し、日本側の所有権を認めた。大法院は「略奪された韓国の文化財といっても、取得時効関連の法理を破ることはできない」として、仏像の所有権が日本側にあるとした。

浮石寺の前住職、円牛(ウォヌ)僧侶は「大法院が略奪を先頭に立って合法化した。全世界に出しても恥ずかしい非人間的な判決」だと反発した。浮石寺仏像奉安委員会のイ・サングン常任代表も「略奪品の時効取得を認めた理解できない判決」とし、「悪意的な占有の時効取得を認めないのが国際的な判例の流れだ」と主張した。

韓国外交部報道官はブリーフィングで「判決を尊重する」として、「今後の返還手続きなどについては、関連する法令に従って政府関連機関で決めていく」と語った。日本政府の村井英樹官房副長官は「仏像が観音寺に早期返還されるように韓国政府を説得し、観音寺を含む関係者たちと連絡して適切に対応して行く」と述べた。

(キム・シンソン先任記者、東京=姜具烈特派員、10月27日付)

spot_img
Google Translate »