自治体が多額の予算投入

張さんは市内中心部にある「鄭律成記念公園」造成予定地や少年期に通った全羅南道和順郡にある公立綾州小学校の「鄭律成壁画」も案内してくれた。壁画は3階建て校舎の側壁いっぱいにタイル貼りで巨大な鄭律成の顔が描かれている。学校ではその事実関係さえ定かではない「抗日独立運動家」として受け止めているようだった。
こうした関連事業に自治体は多額の予算を投じてきた。光州は歴代、革新行政が独占してきたためだ。問題は韓国に銃口を向け、今なお敵対したり、対立要素が多い中朝両国の「軍歌の父」とも言える鄭律成がまるで故郷に錦を飾るごとく崇(あが)められていることだった。
「光州事件で光州は反保守の牙城になり、その後も左派的言動に対する反論が許されない一種の左派の解放区になり続けていることに問題の根本がある」(張さん)
ようやく事の異常さに気付いた一部市民と共に、張さんは鄭律成記念事業を中止させる運動の先頭に立っている。