トップ国際朝鮮半島北朝鮮とロシア 首脳会談で「軍事蜜月」 先端技術導入急ぐ金正恩氏 プーチン氏は不足弾薬を補充

北朝鮮とロシア 首脳会談で「軍事蜜月」 先端技術導入急ぐ金正恩氏 プーチン氏は不足弾薬を補充

合同演習定例化も

北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領による首脳会談がロシア極東のウラジオストクで始まった東方経済フォーラムに合わせて行われる見通しだ。ロシアから弾道ミサイル関連などの各種先端技術の導入を急ぎたい正恩氏と、ウクライナ侵攻後の戦争長期化で不足する弾薬を北朝鮮から補充したいプーチン氏の利害が一致したとみられる。両国は「軍事蜜月」時代を迎えたようだ。(ソウル・上田勇実)

北朝鮮の金正恩総書記 (朝鮮通信、AFP時事)

北朝鮮とロシアの軍事協力の歴史は長く、これまで秘密裏に技術移転が進められてきたといわれる。近年でも北朝鮮が変則軌道で飛行する弾道ミサイルを何度か発射したが、これはロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の改良型とみられている。

今年7月、北朝鮮の平壌で朝鮮戦争の休戦協定70周年を「戦勝70周年」と称して記念行事が行われた際、ウクライナと戦争中であるにもかかわらずロシアからショイグ国防相が出席した。正恩氏は自ら案内して600㍉超大型多連装ロケット砲や米国が保有する「グローバルホーク」を真似(まね)た無人偵察機、無人攻撃機などを誇示する「セールス」に乗り出した。今回の首脳会談で主要議題となる武器取引の地ならしの場だった可能性がある。

現在、北朝鮮が重視する軍事的課題は一昨年の第8回朝鮮労働党大会で示された「国防力発展5カ年計画」の5大核心事業の達成といわれる。その中身は、極超音速滑空ミサイルの開発・導入、超大型核弾頭の生産、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の打撃命中率向上、固体燃料式推進のICBM開発、原子力潜水艦と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の保有だ。

これらの進捗(しんちょく)度について北朝鮮の核・ミサイル開発に詳しい韓国国防研究院のある元幹部はこう指摘する。

「極超音速ミサイルなど一部は実際に発射実験が行われているが、これらは全て北朝鮮独自の技術ではできないものばかり。すでにロシアから技術移転されている可能性が高く、首脳会談で武器取引が行われれば、技術移転はさらに進むだろう」

こうした技術移転の先には「西側諸国が最も憂慮するICBMの大気圏再突入技術の確保」(元幹部)が待ち受けている。北朝鮮としては、国連安全保障理事会の常任理事国でありながら北朝鮮への弾道ミサイル関連技術の移転を禁じた安保理の対北制裁決議を守ろうとせず、ウクライナ侵攻ですでに「軍事的な自制心」を失ったロシアという「強力で好都合な後ろ盾」を利用しない手はない。

一方、ロシアはウクライナとの戦争が長期化し、「砲弾など戦争物資の確保と国際的孤立を克服する友軍の確保が必要」(韓国政府系シンクタンク)だ。古くからロシア製武器が出回る北朝鮮から弾薬や在来式兵器を戦場に投入する必要性は感じていたとみられ、実際に両国国境をまたぐ列車で物資が頻繁に行き来した兆しも確認された。

ロシアのプーチン大統領 (AFP時事)

戦況次第では「旧ソ連製の武器を大量に保有・運用している北朝鮮から、これらをさらに導入する可能性も排除できない」(同シンクタンク)状況だ。

今回の首脳会談を契機に、これまで表向きには行われてこなかった露朝2カ国による合同軍事演習が定例化するとの観測もある。「自主」国防路線を主張する北朝鮮が他国との合同演習を公然と行うのは考えにくかったが、日米韓3カ国の軍事協力が急速に進む中、今後は中国を含めた中露朝3カ国が軍事的結束を誇示する可能性は十分ある。

北朝鮮は建国記念日の前日だった今月8日、既存のロメオ級(2000㌧)中型潜水艦を改造したとみられる「新造潜水艦」の進水式を行い、水中から弾道ミサイルを発射できるという「戦術核攻撃潜水艦」(正恩氏)をお披露目した。

すでに一部からは、構造物の形などから航行やミサイル発射の能力に疑問が投げ掛けられているが、北朝鮮の代表的な造船所がある南西部の南浦で長年勤務したある脱北者は「潜水艦の技術もロシアから移転され続けている」と証言した。

技術改良後に実戦配備され、日本海などで行われる合同演習に参加する日が来るかもしれない。

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