
危機管理はアマチュア水準
ジャンボリーは1920年に英国で創立された世界の青少年の代表的活動だ。ジャンボリーという言葉は北米先住民の「愉快な宴(うたげ)」または「楽しい遊び」という意味に由来する。未来を導く青少年が国家、民族、宗教などを超越して自然の中で共同体キャンプを行い社会と人類のための構成員として成長する学びの場だ。
韓国は既に1991年、第17回大会を江原道高城で開催した経験がある。そして激しい競争を勝ち抜いて2017年8月、第25回開催国に選定され、今回は歴代最大規模の158カ国から約4万3000人のスカウト隊員が参加した。
だが呆(あき)れ返る事態が起こった。今回のセマングム世界スカウトジャンボリー大会に対する総体的な準備不足と右往左往する危機管理はアマチュア水準だ。準備過程で必ず開催前の点検をしなければならない「プレジャンボリー」が1年前でなく2カ月前に行われ、補完する時間が取れなかった点、必要な基盤施設と予算支援が適時に行われなかった点など、既に問題をはらんでいた。
執行過程では大会場の排水や付帯施設の問題、医療施設不足、熱中症や害虫への対応、不十分な食事と衛生、さらに“ぼったくり商法”まで、想像できない問題で全世界から来たスカウト隊員たちを挫折させた。
問題発生後の対処過程も残念だ。共同委員長制の弱点を如実に見せた。3人の長官(閣僚)、国会議員、韓国スカウト連盟総裁の5人体制で誰がどんな役割を果たし誰が責任を持っているのか曖昧だった。結局、首相が記者会見し、主務官庁である女性家族部の長官が現場で宿営して指揮せよという叱責性の命令が辛うじて効力を発揮している。
今回の問題の核心は何よりも運営システムと疎通(コミュニケーション)の不在だ。現場の問題と指摘が迅速に伝えられ、組織委と執行委が一緒に早く問題を解決していくシステムが必要だった。また、組織委と韓国スカウト連盟を中心に各国のスカウト代表と世界スカウト連盟が緊密に協力し議論する疎通が取れなかった。
いま最も重要なのは青少年スカウト隊員を帰国まで猛暑と台風から安全に守ることだ。そして少なくとも大韓民国は水浸しの野営地と隊員の虫に刺されたふくらはぎの写真を見て、本当に申し訳なく思わなければならない。今回のことはわれわれ大人のとても恥ずかしい失敗だ。ただし、その渦中に少しでも手助けしようと現場に行ったボランティアと民間企業がいて、わずかながら慰めになった。
今回のジャンボリーの失態は韓国社会に警鐘を鳴らす事件だ。果たして何が問題なのか。大会後には徹底的に分析し反省しなければならない。今回も人のせいだけにして自身の責任を率直に告白する指導者がいないことも原因の一つであろう。再発防止のためには今すぐ厳しい鞭(むち)を取らなければならない。
(李勲(イフン)漢陽大国際観光大学院院長、8月9日付)