トップ国際朝鮮半島外交の表舞台から消えた北朝鮮

外交の表舞台から消えた北朝鮮

【ポイント解説】対外シグナルはミサイルだけ

北朝鮮が外交舞台から消えたのは2019年ハノイの米朝首脳会談が決裂してからだ。以来4年の間、韓国メディアをはじめ外国メディアが国際会合などで北朝鮮の要人を捕まえて取材することができなくなったという。

18年6月、シンガポールでの米朝首脳会談では金正恩総書記の警護員が街中で置き去りにされ、現地警察に職質された時、取材に行っていたセゲイルボ記者が通訳して取り持ったことがあった。南の一介の女性記者が迷子になった厳(いか)つい北の警護員の世話をした話は、普段接する北関連情報とは一味違った側面を見せて、興味深かった。ヘマをした警護員らが帰国後、どうなったかは不明だが。

北朝鮮で女性が活躍している印象を与えるのは金総書記の妹、金与正党副部長や娘のジュエ氏がニュースに登場する場面が多いからだが、崔善姫氏が北米局長、外務次官として、シンガポールやハノイで対米交渉の前面に出ていた姿も印象に残る。その後外相に抜擢(ばってき)されたが、国際舞台で崔外相を目にすることはない。

だからショイグ露国防相が平壌を訪れたニュースには新鮮味があった。金正恩氏が外国人(ショイグ国防相)を案内する映像はそれだけ新奇さがあったからだ。

しかし、この映像には新奇さとともに懸念もある。記事で分析しているように北朝鮮が「親しい国」とだけの付き合いに閉じこもっているのではないかというものだ。あれだけ対米関係に執着してきた北朝鮮が、米国だけでなく、日本、韓国とも一切交流しようとしない。

局面打開の突破口は米朝交渉、終戦協定、対米国交正常化に焦点を定めている北朝鮮が中露とだけ交流していても状況は一向に変わらない。対外シグナルは今のところミサイル発射だけだ。国際舞台に北要人を出す気配がないのは不気味である。韓国紙記者が欲するネタ以上に重要なことだ。(岩崎 哲)

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