
国力総動員し災害対策を
前例のない豪雨に気の毒な死が相次いでいる。中央災難安全対策本部によれば18日午前6時現在、豪雨による死亡・行方不明者が50人に達する。何よりも忠清北道の五松地下車道の惨劇は言葉を失わせた。
新婚2カ月の30代教師の死に、地下車道を通過中のバスに乗った犠牲者の事情に胸がいっぱいになった。バスに水がたまっているという乗客の最後の通話も、幼い小学生たちが葬儀場を訪れ涙を流したという報道にも心が痛んだ。
昨年10月29日、梨泰院惨事が起こった後、韓国社会は「2014年セウォル号惨事の後、私たちは自らどれほど変わったか」を自問した。前例のない豪雨と気象災害に遭っている今、再び私たちの社会と自身に「私たちは本当に最善を尽くしたか」と問わざるを得ない。まさかと思う心に、形式的な指示と見せ掛けの対策、安易な対応で“予防するふり”だけしたのではないかと恥辱感を覚える。
昨年の梅雨時に浦項の地下駐車場とソウル新林洞の半地下住宅の浸水を体験した。当時、台風11号が上陸し、浦項のあるマンションの地下駐車場が水没し住民7人が死亡した。近隣の河川が氾濫したためだ。車を出しに行った住民が被害に遭った。ソウル新林洞の半地下アパートで一家3人が亡くなった事件も、近くの道林川が氾濫したのに避難できずに起こった。
政府は積極的な対策と再発防止を約束したが、残念なことに悲劇は繰り返した。今回の五松地下車道惨事もそっくりだ。降り注ぐ豪雨に近隣の美湖江が氾濫し、地下車道へ水が流れ込んだ。
事故が起きた地下車道は長さ430㍍で往復4車線の道路だ。普段1分ほどで通り抜けられる所だという。地下車道の中央部分が50㌢程度水没すれば交通統制するというが、突然流れ込んだ水によって2~3分で地下車道は水没した。
即刻対応が必要な生死の分かれ目で、マニュアル通り対応していては手遅れになる。地下車道に水が入ったことを確認して関係当局に伝え、再びこれを点検して判断した後、交通を統制するマニュアル通りのプロセスはもはや機能しない。
漢陽大学の芮尚郁(イェサンウク)海洋融合工学科教授は昨年7月14日付セゲイルボのコラムで、私たちは気候危機に伴う複合災害の時代に住んでいると指摘した。100%共感する。気象災害はより頻繁になり、より強力になり、より広範囲な場所が打撃を受けるようになった。すでに私たちの生活に直接的な影響を及ぼしている。今回の梅雨で経験した「短時間に未曽有の豪雨」と五松地下車道の水没、「予想できない奇襲的山崩れ」と(慶尚北道)醴泉・白石里地区の埋没がこれを傍証している。
災難対策と点検、管理はいくら強調してもし過ぎではない。経済問題なら、大統領主催の財政戦略会議・非常経済長官会議・輸出投資対策会議などが相次いで開かれ、先を争って先制的対応と効果を点検し、後続対策を強調するが、気象災害も同じだ。国の全ての力を総動員し、本当に最善を尽くして総力対応しなければならない。
(イ・ウスン社会部長、7月19日付)