トップ国際朝鮮半島【韓国紙】THAAD、セウォル号と福島の怪談

【韓国紙】THAAD、セウォル号と福島の怪談

ソウルの鷺梁津水産市場を訪れた韓国の韓悳洙首相(手前左)=23日(本人のフェイスブツクより)(時事)
ソウルの鷺梁津水産市場を訪れた韓国の韓悳洙首相(手前左)=23日(本人のフェイスブツクより)(時事)

責任取らない対立誘発勢力

迎撃ミサイル「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の電磁波怪談はもう生命力を失って久しいが、2016年7月、THAAD配備が公式決定された時に出回った電磁波怪談は凄(すさま)じかった。「電磁波が水分を吸い込んで近隣住民の身体内部に火傷を負わせる」「奇形児出産・不妊・がん・脳腫瘍を誘発する」「レーダービームの散乱で周辺の農作物に被害が発生する」等々。

同年8月、慶尚北道星州郡で開かれたTHAAD反対ろうそく集会で共に民主党議員らはタンバリンを振り叩(たた)いて、「ある日偶然、電磁波を受けたこの姿を眺めながら」「強力な電磁波の下で私の身体が油で揚げられるようで嫌だ」というような替え歌まで歌った。

文在寅政権の時にTHAAD発射台を追加配備して6年が流れたが、電磁波の被害が確認された事例はない。「THAADチャメ(マクワウリ)」と言われ、一時売上額が落ちた星州マクワウリも以前の人気を取り戻した。軍当局だけでなく電波の専門家たちは初めから話にならない主張だと言っていた。THAADよりさらに高い出力を持つレーダーが既に国内部隊、海軍戦艦で運用中だが、電磁波被害を受けたという事例は報告されていない。

政府が先週発表した星州THAAD基地の環境影響評価結果は予想した通りだ。韓国電波振興協会と実測した資料を分析した結果、電磁波の最大測定値が1平方㍍当たり約0・019㍗で、人体保護基準(1平方㍍当たり10㍗)の0・189%にすぎなかった。

「THAAD怪談ソング」を歌った民主党の朴柱民議員は「率直に100%信じられない」と言った。彼らには、電磁波が人体に及ぼす影響は距離の3乗に反比例するとか、5度以上の角度で空に向かって電磁波を発射するので農作物や人家に被害はないという科学的な根拠は重要ではない。彼らに必要なのは、政府に対する不信と怒りの火力を高める焚(た)きつけだ。

李明博政権の時に数カ月間、都心をマヒさせた狂牛病騒動を起こしたのは「脳がスカスカ、穴ポッカリ」の類いの怪談だった。全国民を衝撃に陥れたセウォル号の惨事は9回も国家機関の調査が行われたのに、相変わらずインターネットに怪談、陰謀論が出回っている。

今度は日本の福島汚染水放流(処理水放出)を巡って論戦の真っ最中だ。民主党の李在明代表は全国各地を回って「核廃水」「領土主権侵害の邪悪」だといって、日本と韓国政府に向かって声を高めている。放出濃度の数値と科学的な論理を示す専門家たちには「いかさま師」「たわごとだらけ」とレッテルを貼った。反政府、反日情緒に便乗して党派争いに持ち込もうとする意図が歴然としている。

科学と事実が怒りや不安と争わなければならない時間が長くなるだろう。対立を誘発する勢力が責任を取ったことはなく、その間の崩れた民生、社会対立の費用は国民が負うほかない。

(黄政美編集人、6月27日付)

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