韓国から
韓国の南西端に、朝鮮半島の陸地最南端を意味する「地の果て」と称する場所がある。目の前には多島海が広がり、無数に浮かぶ島々が織り成す景観は見事だ。先日、仕事でその島の一つを訪れる機会があったが、宿泊先のホテルの窓から外を眺めると、そこもオーシャンビューで、遠くに済州島が見えそうなくらいだ。居心地が良くて、何人かの知人にメッセージアプリで絶景写真を送ると、「凄~い」「ワオ」と皆、感嘆していた。
島内の移動に必要な足がなかったので、ホテルのフロントで個人タクシーの名刺をもらい、早速電話してみた。すると運転手の男性が「出掛ける10分前に電話を」と言う。
何度か利用したが、10分前に電話すると、必ず10分以内に来てくれた。車中、島の観光情報はもちろん、子供を車に乗せて朝学校に送ってあげたこと、地元開催の体育大会で三段跳びに出場し優勝したことなど話が尽きない。「力しかない田舎者なので…」と照れくさそうに。
筆者を案内してくれた人が懇意にしている漁師の家では、昼食を御馳走(ちそう)になった。食卓にはアワビ、イシモチ、ウナギ、エビなど新鮮な海産物がズラリと並んだ。ここで生まれ育ったという60代半ばの家長が満面の笑みを浮かべ、もてなしてくれた。
朝6時に起きると、そのまま海に出て行き仕事をするという。昨年、初めて健診を受け、「全数値が最高等級」(家長)だったそうだ。海辺の自然と人情に触れ、心が和んだ。(U)