トップ国際朝鮮半島在韓中国人が選挙当落を左右?「李在明に投票」帰化者促す

在韓中国人が選挙当落を左右?「李在明に投票」帰化者促す

昨年3月、在ソウル中国大使館前で中国共産党の工作を批判する韓国市民団体のメンバー(チャイナ・アウト提供)
昨年3月、在ソウル中国大使館前で中国共産党の工作を批判する韓国市民団体のメンバー(チャイナ・アウト提供)

革新系知事の辛勝に貢献か

参政権に懐疑論も

韓国に居住する中国人が朝鮮族を含め100万人を超える中、韓国籍への帰化者や地方参政権を付与された永住権者に、韓国の各種選挙で親中的な革新系候補への投票が呼び掛けられ、それに応じる動きがあった可能性が指摘されている。保守派からは参政権付与を見直すべきとの声も上がっている。

(ソウル・上田勇実)

中国共産党による韓国政治工作に反対する市民団体「チャイナ・アウト」によると、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のアカウントで、加盟者が270万人といわれる在韓中国人コミュニティーサイト「奮闘在韓国」は昨年、直後に迫っていた韓国大統領選と関連し、革新系与党だった「共に民主党」公認の李在明氏への投票を呼び掛けた。

李氏は先日、邢海明・駐韓中国大使と面談した際、邢大使が「中国の敗北に賭ければ後悔する」と発言して尹錫悦大統領を露骨に批判しても、外交非礼を抗議しないまま事実上傾聴して終わるなど、中国への低姿勢が問題視されている。

奮闘在韓国は昨年2月4日の書き込みで、「韓国内の中国人とすでに韓国籍を取得した中国人は全員団結し、李在民(注・正しくは李在明)を韓国の次の大統領に強く支持しなければならない」とする一方、保守系野党「国民の力」公認だった尹錫悦氏については「顔つきが凶悪でナチの政治理念をもつ人物」「選挙期間中、何度も外国人、特に中国人を攻撃したのを知らなければならない」などと批判した。

その上で「全員が注意するよう要望」と記した欄に「すでに韓国国籍を取得した同胞は業務(仕事)を理由に投票を諦めるな。諦めたら尹錫悦は50%(当選する)可能性がある」として投票を促した。

市民団体関係者が韓国法務部への情報公開請求を通じ入手した資料によれば、2000年から昨年末までに韓国籍に帰化した在韓中国人は累計約14万5000人。帰化は韓国での生活における便宜向上が主な動機とみられるが、中には「意図的に帰化して政治工作に加わる者もいる」(チャイナ・アウト)ようだ。

奮闘在韓国は1日平均の書き込み数が約19万件で、韓国大手紙・中央日報の中国語版の姉妹サイト。19年に中国共産党中央組織部から強く要請され、建国70周年式典に海外代表の一員として招待されている。露骨な「李在明支持」の書き込みは、同サイトが韓国内の政治工作を担当する中国共産党統一戦線部の影響下にあるためだった可能性は十分ありそうだ。

実際にこうしたサイトを見てどれくらいの帰化者が李在明氏に投票したかは不明だが、今後、与野党候補一騎打ちの大接戦となった前回大統領選をさらに上回るような僅差で勝敗が決まる場合、在韓中国人の投票が当落を左右する事態にもなりかねない。

一方、昨年6月に実施された統一地方選挙で京畿道知事に僅差で当選した共に民主党の金東兗氏を巡り、「在韓中国人介入説」が浮上している。

 選挙の約半月前、金氏は韓国籍に帰化した在韓中国人の集まりである「全国帰韓同胞総連合会」が主催した行事で自身への支持を訴えた。同連合会は17年の大統領選で李氏同様に中国に融和的な文在寅候補に対する支持宣言をしたことがある。また同道に居住する地方参政権を持つ外国人有権者数は3万8500人で、その大半が中国人だ。

選挙結果は金氏がわずか8913票差で当選。「中国人が当落に影響を及ぼした可能性もある」(韓国紙・文化日報)。

韓国は盧武鉉政権時に在韓外国人が永住権取得後3年経過した場合、地方参政権が付与されるよう法改正を行った。しかし、韓国人は中国で参政権を付与されていないことが問題視され、相互主義の観点から中国人に対する参政権を剥奪すべきとの声が上がっていた。

今回の邢大使の発言を契機に国会などでも参政権付与に懐疑的な声が出始めている。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »