【NEWSクローズ・アップ】韓国最大野党党首 親北派の陣地・城南で“出世” 夜学で芽生えた階級意識 スパイ容疑者の弁護人に

ソウル市に設置されたハロウィーン圧死事故(昨年10月)犠牲者を追悼する献花台を訪れた後、記者団の質問に答える李在明氏(今年4月、上田勇実撮影)
北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件(2010年)について「自爆だった」とSNS上で述べていた人物を要職に起用したり、東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に猛反対するなど、露骨な「親北反日」を繰り返す韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表。李氏の過激な言動はどのようにして生まれたのか。それは少年時代から政治家になるまで活動の拠点だった城南(ソンナム)市(京畿道)の「ある特性」を抜きにしては語れない。(ソウル・上田勇実)

ソウル南東部から京畿道まで延びる地下鉄8号線に乗って「丹垈五差路駅」を下車し、南方に延びる急な上り坂を1㌔ほど歩くと、古い住宅や小さな商店などがひしめく城南市中院区上大院洞に着く。ここはかつて工業団地があり、李氏が少年工として働いた場所だ。

近くにあった派出所の警察官に李氏について尋ねると、「もし李氏の実家や工業団地が残っていたら観光地として有名になり、多くの人が訪れていただろう」と説明してくれた。

1970年代に始まったソウル南部の江南区や瑞草区の集中的開発に伴い、そこに違法居住していた低所得層のバラック小屋が強制撤去され、彼らが移り住んだ代表的な場所がソウルに隣接する城南だった。住民たちは当局に反感を抱き、そこに目を付けたのが左翼運動家たちだった。

「子供たちは家が貧しくて学校に行けず、昼間は工場で働き、夜は左翼運動家たちが開いた夜学に通った。その時に階級意識などを植え付けられた。そのうちの一人が李在明だった」(公安筋)。

例えば、社会科の時間に「なぜ君の家は貧しいのか。金持ちや財閥などの資本家が搾取しているためだ。今の世の中は労働者のための世の中ではなく、資本家だけが得する世の中だ」と言って階級意識をすり込むのだという。

80年代になると、韓国の大学では北朝鮮を信奉する主体思想派が主導する学生運動が吹き荒れ、城南の貧困家庭の子供たちに勉強を教える左翼大学生たちも増えた。こうして「城南は親北派の陣地になった」(公安筋)わけだ。

李氏は検定考試(日本の高卒認定試験)を経て大学に入学。司法試験に合格して弁護士になり、「親北反日」色の強い「民主社会のための弁護士会」(民弁)の国際連帯委員長に就任した。95年、北朝鮮が韓国に送り込んだ工作員と接触した容疑で逮捕された金太年・元共に民主党院内代表らの弁護人を務めている。

その一方で、2010年の城南市長選に出馬した際は、金氏と共に逮捕された金美希・元統合進歩党議員との候補一本化の末、初当選を果たした。その後、京畿道知事を経て前回の大統領選で共に民主党の候補として出馬し、尹錫悦氏に僅差で負けた。

李氏は俗に「出世欲が強く、日和見主義者」と言われるが、自分の考え方とも合う城南の「特性」を利用し、“出世”の階段を登っていったと言える。

親北派の陣地となった城南は、今年に入って相次ぎ発覚したスパイ組織摘発事件に深く関わった「京畿東部連合」という親北派集団の拠点でもある。同連合は全国各地にあった同様の親北派集団の中で最も戦闘力があり、そのリーダーには城南に近い韓国外国語大学龍仁キャンパスの出身者が多いことでも知られる。

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