台湾有事は韓半島有事
米軍のアフガン撤退とウクライナ戦争以後、全世界は安保不安に陥り始めた。ロシアが核兵器使用に言及し、北大西洋条約機構(NATO)諸国は対応策を検討し始めた。
問題はアジア地域にあった。アフガンから軍を撤退させ、ウクライナ戦争に直接参戦しない米国を見て、アジア地域の同盟諸国は米国の安保提供の信頼性に疑問を持ち始めたのだ。韓国と日本など伝統的な米国の同盟国は米国により確実な拡大抑止力の強化を要求し始めた。
北朝鮮の核保有国化によって韓国は安保不安に陥り始めた。韓米首脳はワシントン宣言で、核抑止に関して深化し協力的な政策決定に関与することを約束し、核の脅威に対する疎通・情報共有の増進、核・戦略企画討議などのための核協議グループ設立を宣言した。
日本の憂慮は台湾海峡に集中し始めた。沖縄県が戦争に巻き込まれることになれば日本の安保経済的な損失は莫大(ばくだい)になる以外にないというのが日本の認識だ。日本は中国の台湾侵攻事態を日本有事と認識しており、日本の対応は大きく三つに要約できる。
第1に、日本は昨年三つの安保文書を改定した。核心内容は反撃能力概念の導入だが、これは過去の敵基地攻撃概念とは違って敵の指揮統制機能を打撃するというところにある。これを支援するために米国は日本に長距離ミサイルを提供し始めた。
第2に、米国と日本は軍事指揮体系を変え始めた。過去、日本の自衛隊は在日米軍と一つに連合できなかったが、今は在日米軍司令部と自衛隊司令部はより一つに連合するための軍事指揮体系に変化しつつある。
最後に、日本は台湾有事で中国が核兵器を使う場合に備えて米国がこの地域に核の傘を強化しなければならないと主張している。日本が韓米が合意した核協議グループに注目する理由である。
それなら韓国は台湾有事から自由なのか。尹錫悦大統領はある外国メディアに、武力による台湾海峡の現状変更に反対する立場を明らかにした。台湾海峡で戦争が勃発する場合、これは地域戦争に拡大する。すなわち在日米軍と在韓米軍の一部は台湾有事に対応するために急派される可能性があり、日本列島と韓半島は中国の打撃対象になる得る。北朝鮮もやはり台湾有事と連係して対南挑発を行う可能性がある。在韓米軍の台湾への移動を防ぐためだ。
結局、台湾有事は韓半島有事に連結され得る。台湾海峡で武力による現状変更に反対しなければならない理由だ。韓米相互防衛条約によれば、太平洋地域で韓国と米国は互いに安保提供を行う義務がある。しかし、北朝鮮の脅威が常在する状況で、在韓米軍の台湾移動を歓迎する理由はない。台湾海峡の平和と安定の維持が重要な理由だ。
(キム・ヒョヌク国立外交院米州研究部長、5月26日付)