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少子化対策が政権の最重要課題となっている日本だが、お隣の韓国ではわが国を上回る少子化が進んでいる。韓国統計庁によると、2022年の合計特殊出生率が0・78と7年連続で過去最低を更新。経済協力開発機構(OECD)の中で最下位だ。
都市部の住宅価格の上昇や重い教育費の負担で、結婚や出産をためらう若者が増えているという。日本と同じく非婚化が第一の原因のようだ。若者の雇用状況の悪化がそれに拍車を掛けている。
朝鮮王朝時代の官吏登用試験「科挙」の伝統のある韓国は、日本以上の超学歴社会だ。大学受験ではソウルに多い名門大学に人気が集中する。
韓国では日本のような何代も続いた老舗の料亭などはあり得ないという。成功して財産ができると、さっさと店を譲り、次の代はもっと知的で社会的に地位の高い職業に就くためだ。大学受験で人生が決まってしまうという発想が韓国では強いのも、そういった儒教的な上昇志向が根底にあるのだろう。
しかし一方で、儒教は家族重視と血筋の継承を重視するが、最近は韓国でも個人主義的な傾向が強まっているという。これは科挙や宦官(かんがん)の制度を採り入れず中途半端な儒教国と司馬遼太郎が言う日本も同様だ。
日本はさまざまの少子化対策を講じ多額の予算を投じてきたが、はかばかしい成果は出ていない。これは韓国も同じようだ。日韓両国とも、価値観の変化という問題にメスを入れる必要がありそうだ。