韓国過激労組 北工作の温床に 民主労総に強制捜査

「戦闘力」買われ反保守指令 平壌徴用工像の計画も

民主労総への強制捜査を伝える韓国テレビのニュース番組

過激な言動で社会的ひんしゅくを買ってきた韓国二大ナショナルセンター(労働組合の全国中央組織)の一つ、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の現職局長らが北朝鮮の工作員と接触し、反保守活動の指令を受けたとして先週、その関係先が強制捜査を受けた。民主労総は親北路線で有名だが、実際に北工作の温床になっていた可能性が強まり、波紋が広がっている。(ソウル・上田勇実)

情報機関の国家情報院と警察は今月18日、ソウルの民主労総本部など全国約10カ所を家宅捜索した。容疑は民主労総の前現職幹部3人を含む4人が2017年以降、カンボジアやベトナムで北朝鮮の工作員と接触し、韓国で反米や反保守の活動をしたり地下組織をつくったりするよう指示を受け、一部実行に移していた国家保安法違反だ。

民主労総を巡っては今月9日、済州島出身の革新系政党関係者が、海外で接触した北工作員から同島にある民主労総傘下組織を掌握するよう指令を受けていた疑いで摘発されたと韓国メディアが報じていた。

これまで民主労総は露骨な親北路線を敷いていたが、北朝鮮がそこに着目し、実際に浸透していたようだ。家宅捜索の令状によると、着目の理由と関連し北朝鮮は「団結力、戦闘力がある(韓国の)労働者たちを先頭に立たせてこそ大衆を牽引(けんいん)していける」と指令文で説明していたという。

民主労総はいかにして北朝鮮に利用価値があると思われる存在になったのか。90年代に北朝鮮の指示を受け韓国地下組織を結成した後、転向した金永煥氏は「民主労総は強硬派の中でも北朝鮮を信奉する主体思想派が組織を掌握し、現在の委員長も同派に属する。北朝鮮にとって比較的介入しやすい状況になっている」と指摘する。

もともと北朝鮮の韓国への工作は大学生を通じてなされてきたが、「今や左派学生運動は事実上没落したため、労組を掌握し背後から操ることに集中している」(金氏)とみられる。

ナショナルセンターにとって労働者の待遇改善や権益保護が最優先課題のはずだが、そうした本業をそっちのけで政治闘争に明け暮れる姿を国民は訝(いぶか)しく思ってきた。

民主労総には「統一部」と称する部署もあり、親北系市民団体の関係者も出入りするほどだ。北朝鮮が主張する米韓同盟の破棄、在韓米軍の撤収、国家保安法の廃止などを公然と主張するかと思えば、数年前には協力関係にある北朝鮮の朝鮮職業総同盟と平壌に徴用工像を設置することで合意したこともある。

このため保守系国会議員からは「本来の業務と無関係な政治にまで介入する越権の程度が漸入佳境だ」とする声も上がっていた。北朝鮮は最終的に民主労総を「南朝鮮革命(韓国の共産化)に向けた決定的時期に革命の前衛として活用できると考えている」(柳東烈・元韓国警察庁公安政策研究所研究官)というから、まさに危険組織と言えよう。

尹錫悦大統領は昨年末、民主労総傘下の貨物連帯によるストを巡り、ドライバーに対し異例の「業務開始命令」を下し、ストを中止に追い込むなど断固たる態度で臨んでいた。今回の強制捜査は北朝鮮と連携したスパイ行為という到底見過ごせない容疑にメスを入れようというもので、北朝鮮に融和的で民主労総を事実上放置した文在寅政権とは真逆の対応。民主労総側は「公安弾圧を中断せよ」などと主張し、強く反発している。

14年、国家転覆を企てたとして極左政党・統合進歩党が強制解散させられた際、法相としてこれに関わった黄教安元首相はこのほど韓国メディアのインタビューで「民主労総の解体は統合進歩党解散の第2ラウンドとして当然取り組むべき」と主張した。

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