【韓国紙】尹大統領の“核武装”発言で波紋

北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験=朝鮮中央通信が2022年1月19日に配信、平壌(AFP時事)
北朝鮮の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験=朝鮮中央通信が2022年1月19日に配信、平壌(AFP時事)

「開発せぬが能力はある」

北朝鮮の核問題と関連し、尹錫悦大統領の発言が国内外に波紋を起こしている。「北核脅威がさらに深刻化する場合」という条件付きだが、韓国大統領が公開で「独自核武装」に言及したことは初めてだからだ。

1970年代後半、朴正煕大統領が米国の圧力に屈した後、米紙とのインタビューで「核能力は持っているが開発はしない」という言葉で韓国の核兵器開発に関する立場は事実上整理された。

これまで韓国の安全保障は米国の核の傘の下で可能だった。だが、北朝鮮の核武装が表面化した現在、米国の核の傘だけに韓国の生存問題を任せるのか。北朝鮮が米国を同時多発で攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)で米国を威嚇する時、米国が危険を甘受して北朝鮮の脅威に対応し、韓国に核の傘を揺らぐことなく提供するだろうか。これは確信できない。

元駐韓米国大使で1970年代に米中央情報局(CIA)韓国支部の総責任者だったドナルド・グレッグ氏は当時、朴正煕大統領を説得するため、米国が北朝鮮からのいかなる攻撃にも韓国を保護するから韓国が核兵器を持つ必要がないということを確言したという。これは今回の尹大統領発言に対して、米政府はバイデン大統領が韓半島の完全な非核化を約束し、韓米は共同で拡大抑止を強化する方向に進むと論評したことと類似した説得論理だ。

70年代の核開発論議と今回の尹大統領の独自核武装への言及は互いに違った状況に依拠する。当時は米国のニクソン・ドクトリンに続く在韓米軍撤退の主張に直面し、自主国防のための圧縮成長策として核兵器開発を急いで推進したものだ。一方、尹大統領の条件付き核武装論は北朝鮮の核兵器の高度化に直面し、米国の対韓国防衛公約を再確認し、韓国の核武装能力を披瀝(ひれき)する示威性の動きといえる。

世論調査によると、独自核武装を支持する国民の世論は過半数で、反対世論の2倍ぐらいを着実に維持している。とはいえ、韓国の独自核武装は現実的に多くの制約要因で囲まれている。核の傘と拡大抑止は米国が同盟国の核武装ドミノを防ぐために考案したものだが、北朝鮮の金正恩総書記が韓国を明白な敵と規定して50基内外の核弾頭を保有したと言われる状況で、韓国の悩みは深くならざるを得ない。甚だしくは、米国が北朝鮮を核武装国と認定し、韓国の安保利益を無視して両国が核軍縮交渉をするようになる場合、より一層深刻だ。

「核能力は持っているが開発はしない」という朴大統領の苦悩と「核開発はしないが能力は持っている」という尹大統領の心境が同じようだが、違った余韻を残している。

(李相桓韓国外国語大教授、1月16日付)

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