国民の窓口を再整備する時
尹錫悦政権の大統領室報道官が長期間空席のままだ。姜仁仙前報道官が9月7日、海外広報秘書官兼外信報道官へ席を移してから76日経(た)つが後任の人選がなされていない。非常に異例である。
副報道官が2人いるものの報道官に比べて重みがない。報道官室の対面ブリーフィング回数も大幅に減った。相次ぐ北朝鮮のミサイル挑発、経済危機など大統領室が対処しなければならない懸案は増えたが、素早い対処ができずにいる。
今年9月、米ニューヨークを訪問した尹大統領がバイデン米大統領と歓談後、低俗発言論議に巻き込まれた時、現地で責任を持って確認する人がいなかったという。13時間後に金恩慧広報首席秘書官が出した釈明はまた別の論議を呼ぶ始末だ。
余震は続いている。最近、尹大統領の東南アジア歴訪時に、低俗発言論議に関する報道などを理由にMBC取材陣の専用機搭乗を拒否して波紋が生じている。尹大統領は帰国後、ぶら下がり取材で、「同盟関係を事実と違ったフェイクニュースで仲違いさせて、悪意的な動きをみせたので、大統領の憲法守護責任の一環としてやむを得ない措置であった」と説明した。
MBC記者は、「何を悪意的だと言っているのか」として大統領室の秘書官と口論になった。大統領室は「芳しくない事態」だとして、ぶら下がり取材を暫定的に中断した。
政策広報専門家の兪載雄元海外広報院長は、「危機状況に対するメディアの関心が高ければ高いほど危機に対処する組織における『報道官』の役割は誰よりも重大だ。公衆の立場から見ると、報道官は組織自体を意味するためだ」(「韓国社会の危機事例とコミュニケーション対応方法」)と述べている。
報道官は内容と伝達という二つの問題に直面する。「内容は危機状況に対する正確な情報を提供しなければならないということであり、伝達はメッセージを公衆に正確に受け入れられるようにすることだ」。
尹錫悦政権が発足して6カ月が過ぎたが大統領の国政遂行支持率は30%前後の水準から抜け出すことができない。中道層の離脱現象のためだが、主要な原因の一つが大統領の発言と態度に対する失望という。なぜ今急いで報道官を任命しなければならないかを端的に物語っている。
大統領室は国民とのコミュニケーション窓口を全面的に再整備しなければならない。情報とメッセージを正確に伝達することに焦点を合わせなければならないだろう。
(朴完奎論説委員、11月21日付)