トップ国際朝鮮半島【韓国紙】消えつつある経済危機克服の好機

【韓国紙】消えつつある経済危機克服の好機

韓国の尹錫悦大統領=21日、ニューヨーク(EPA時事)
韓国の尹錫悦大統領=21日、ニューヨーク(EPA時事)

大統領の指導力は見えず

政治家たちに私席で会うと与野党を問わず、まず経済の心配をする。尋常でないインフレと貿易、為替レートの動きが米中新冷戦のような構造的変化で簡単には解決し難いということだ。

1997年外国為替危機や2008年金融危機に劣らない経済低迷が予想されるという。昨日も為替レートは1㌦=1400ウォンを超え、不動産、株式などの資産価値は急激に下落している。金利の上昇で借金で家を買ったり生計を立てる庶民たちの憂いは深い。ロシア・ウクライナ戦争の長期化で今年の冬はエネルギー大乱が起こるだろうという暗い展望も強まっている。

政治家が本来国民に訴えるのはこのような現実問題への対策であるはずだが、朝の会議のたびにマイクを握る党幹部らの発言は相手党に対する非難ばかりだ。

過去の経済危機を克服できたのは苦痛の分担を受け入れた国民のおかげだった。それを引き出すリーダーシップがあった。外国為替危機当時、全国民による金集め運動は今でも海外メディアで模範的な経済危機の克服事例として取り上げられる。

国民は自国の破産を防ごうと自発的に200㌧の金を差し出しただけでなく、高金利、資産価値の暴落、リストラ、構造調整の被害をそっくり受け入れた。金大中(キムデジュン)大統領は就任式で「私たちは皆、いま汗と涙と苦痛を要求されている」と訴えた。

08年金融危機の時も非常経済を宣布した政府の苦痛分担要求に企業、国民は呼応した。1年余りの間、青瓦台(大統領府)の地下室で“ウォールーム”(非常経済状況室)を導いた李明博(イミョンバク)大統領は自叙伝に「国民に希望のメッセージを送るために努力した」と書いた。

今は尹錫悦大統領も実感するだろうが、リーダーシップを支えるのは世論だ。深刻な経済危機の局面で苦痛分担を説得するためには、世論の固まりをつくらなければならない。「経済危機に集中対処する」という大統領の言葉とは違って、大統領の暴言(侮辱発言)論議、迎賓館新築予算波紋のような“大統領室発”の問題が世論を分断し大統領支持率を落とした。

国家最高機関である大統領室がリスク管理をきちんと行っているのか疑問だ。危機対応の第一段階は危機を危機として認識することだと言われるが、その第一段階から空振りしているようだ。外交問題に飛び火した大統領発言の波紋を公式釈明するのに10時間もかかった理由は理解し難い。

大統領の非公開発言問題で海外歴訪の成果が色あせたことよりも、経済危機を収拾するゴールデンタイムを浪費しているという心配の方がより大きい。

国民を説得して世論を動員するのが大統領の任務だ。ところが大統領の発言が政争の火付け役になった瞬間、党利党略の論理が国政懸案を圧倒している。国民まで分かれて“代理戦”を繰り広げることは前政権で見慣れた場面ではあるが…。

(黄政美(ファンジョンミ)編集者、9月28日付)

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