韓国「米重視」中国に旗幟鮮明 祝賀ムード薄き中韓国交30年

迎撃ミサイル正式配備へ 世論に反中感情拡大

韓国の尹錫悦大統領(EPA時事)

中韓両国は1992年8月24日に国交正常化してから30年の節目を迎えたが、祝賀ムードは薄い。韓国側は尹錫悦政権が米国との同盟重視を前面に打ち出し、米中覇権争いの狭間で曖昧戦術を取ってきた文在寅政権の路線と決別した形だ。北朝鮮問題をはじめ北東アジアの安全保障を考える上で、韓国が中国にどう向き合うかは周辺国の重大な関心事になっている。(ソウル・上田勇実)

先週、北京とソウルで同時開催された中韓国交正常化30年を祝う各政府主催の式典には、習近平国家主席も尹大統領も直接姿を現さず、代わりに両首脳の書簡がそれぞれの外相によって代読されるにとどまった。

尹氏は書簡で北朝鮮の核問題に触れ、「中国の建設的役割」に期待を寄せた。韓国としては、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の議長国でありながら実質的な非核化を導けなかった中国に対し、再び非核化誘導のリーダーシップを発揮してほしいのが本音だろう。

中国の習近平国家主席(AFP時事)

一方、習氏は「干渉を排除」するよう韓国に促した。「干渉」とは米国や米韓同盟を念頭に置いたものとの見方が出ている。具体的には、北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するため米軍が開発した高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)システムが在韓米軍敷地内に暫定配備されていることなどへの不満を表したとみられている。

サードをめぐっては、文政権が中国との間でいわゆる「3不合意」をしたと言われる。3不とは、①韓国にサードを追加配備しない②米国のミサイル防御体制に参加しない③日米韓軍事同盟に参加しない――というもので、韓国保守派を中心に「1905年の乙巳保護条約以後、周辺国の圧力に屈服してなされた最も屈辱的な主権献納合意」(元韓国政府高官)などと酷評された。

中国は、尹政権が今月「3不」に加え既存のサードの運用を制限する「1限」を公式表明したと説明したが、そうした「サード放棄」を既成事実化しようとする中国の圧力に屈することなく、韓国は装備追加によるサードの正式配備を進める方針だ。

米中が本格的な覇権争いを繰り広げる中、北東アジアはその“主戦場”。中国に低姿勢だった文政権の路線から大きく転換した尹政権は、米国がアジアで主導するインド太平洋戦略を支持している。

韓国は、事実上の中国包囲網である日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」への参加に前向きで、米国が主導し台湾や日本が参画する主要半導体メーカーのグループ「チップ4」にも参加の意向を示している。国交30年の式典が盛り上がりに欠けたのは、こうした韓国の変化が背景にある。

韓国が中国との国交に踏み切ったのは、当時、旧ソ連をはじめ共産主義国で体制崩壊が相次いだことが大きい。盧泰愚政権は「北方外交」と称し、ロシアや中国と相次いで国交を結び、北朝鮮を慌てさせたと言われる。92年に64億ドルだった両国間の貿易総額は昨年3000億ドルを突破、50倍近くに拡大した。多くの韓国人は中国を「重要な経済パートナー」と認識するにとどまっていた。

ところが2000年代に入ると、中国政府が「古代朝鮮は中国の属国だった」とする歴史修正プロジェクト「東北工程」を推し進め、両国関係が急速に悪化。また中国に逃れて身を潜めていた脱北者たちを中国当局が北朝鮮に強制送還する事例が多発して社会問題化し、チベットやウイグルでの少数民族弾圧も次第に知られるようになった。08年北京夏季五輪の韓国内聖火リレーでは、人権蹂躙(じゅうりん)を問題視する保守派と親中派による小競り合いも起きた。

その後、経済力を付けた中国の覇権主義が著しくなり、G2時代と称される米中二大国による覇権争いが表面化した。韓国は左派政権下では米中均等外交を試み、保守政権下では中国が北朝鮮を非核化や民主化に誘導する役割を果たすよう期待を掛けた。

近年、韓国では韓国を見下すような態度を取った中国に反感を抱く人も増えており、こうした世論も韓国の対中政策に影響を与えそうだ。

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