トップ国際朝鮮半島【韓国紙】中国、延辺のハングル優位を剥奪

【韓国紙】中国、延辺のハングル優位を剥奪

少数民族の疎外が拡大

9月3日に朝鮮族自治州成立70周年を控える中国延辺州政府は先月25日、州内の言語表記を規定する朝鮮言語文字工作条例実施細則を発表した。核心はハングル表記優位から漢文表記優位への変更だ。横書きでは漢文を先、ハングルを後、もしくは漢文を上段、ハングルを下段に配置するよう規定。縦書きでは右側に漢文だ。適用対象は各機関、企業事業単位、社会団体の職印、看板、賞状、文書、標語、公告、広告、道路標識などほとんど全ての文字表記だ。

1952年9月3日、延辺朝鮮民族自治区(現延辺朝鮮族自治州)成立当時の写真を見ると、演壇中央の横断幕には左から右に「吉林省延辺朝鮮民族自治区各族各界第一次人民代表大会」とある。同じ大きさで上段にハングル、下段には漢字だ。これが本来の姿だ。

2006年2月~07年2月の研修当時、延辺は朝鮮族と漢族の潜在的な対立空間だった。特に延辺州のハングル優位言語政策に漢族の抵抗が強かった。朝鮮族の人口比率が高い州都延吉や龍井以外では、漢族がハングル優先原則を遠慮なく無力化する、と朝鮮族幹部が悩みを打ち明けた。

人口14億の中国は漢族92%と55の少数民族8%で構成される多民族国家だ。中国当局は1949年の新中国成立以来、試行錯誤を経ながら△言語・文化・風俗△教育・大学入試△幹部育成などでの少数民族優待政策によって民族対立を縫合してきた。

延辺の言語表記政策の変化は中国全域で進行している民族政策の転変を象徴する。その土台には中華民族共同体論がある。同論は統一的多民族国家論により中国が概念化した、いわゆる中華民族が近代以後につくられたものでなく、古来から形成された歴史、文化、運命共同体であるとの主張だ。

これは現在の中国領土内のすべての王朝の歴史は中国の歴史という観点で始まった東北工程の根本だ。朝鮮族が中華民族の一員なので、キムチや韓服も中国のものであるとか、龍井出身の詩人尹東柱(ユンドンジュ)が朝鮮族だという主張の淵源だ。

中国独特の社会主義を前面に出した統治が限界を露呈すると、江沢民時代に愛国主義が台頭した。習近平時代の中華民族共同体論は米中対立と少数民族、香港・台湾問題、経済難と貧富の格差拡大など中国の矛盾が激化する状況を突破するためのイデオロギーだ。

習主席は昨年8月、中央民族会議で12の指示を与えつつ、正確な中華民族の歴史観堅持、中華民族の同質感・自負心共有、国家主権・国家安保意識の維持と愛国主義伝統の継承・発揚を強調した。それと共に「中華文化は幹で、各民族文化は枝だ。根元が深くてこそ葉が生い茂る」と語った。幹がなければ枝もないから、まず中華文化、そして民族文化という話だ。これは結局、少数民族の冷遇、疎外状態を深刻化させざるを得ない。長期的には中国内の不安はもちろん周辺国との摩擦が増えることを予告している。

(金青中(キムチョンジュン)国際部長、8月16日付)

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