
対話と妥協の政治復元を
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が就任後70日が過ぎた。これまでの尹大統領の国政遂行への肯定評価は30%台前半に落ち、否定評価は60%を超えた。中道層だけでなく与党「国民の力」の支持層までが大挙離反したのだ。党内の権力闘争で国民の力の支持率は野党共に民主党に後れを取る。
尹大統領は4日、支持率について「別に意味がないこと」とし、「国民だけを考えて、懸命にしなければならないという心だけだ」と語った。言葉はもっともらしいが胸中はどうか。
尹大統領の支持率低下の第1の原因として人事のごたごたが挙げられる。長官(閣僚)候補の人事検証失敗や大統領室の私的採用疑惑、それに不適切な釈明で論議を広げる、といったことを繰り返す。人事がなぜ重要なのかが分かっていないようすだ。
尹大統領の国政遂行方式や態度がさらに大きな問題だ。全てのことを文在寅(ムンジェイン)政権と比較して、誤りがあれば前政権のせいにする。だが、文政権は発足直後、所得主導成長を叫び、大統領府の執務室に雇用現況板を掛けた。政策の成果は期待からほど遠かったが、少なくとも何を目指すかは明らかだった。
今は尹大統領が何を目指しているのかが明確でない。だから大統領のメッセージが空回りしている。こうした状況で大統領の参謀や与党指導部は直言できない。