【韓国紙】優秀な人材が足りない半導体最強国

背景に大学への投資不足

米大統領が短い訪韓日程に敢えてサムスン電子工場見学を入れたのは、時間が余ったからではない。新型コロナで世の中の秩序が変わり、米国の新しい戦略にデジタル支援軍が必要だったためだ。その中心には大韓民国の半導体がある。

だから米国は再び韓国に注目している。全世界半導体の売り上げ1位(サムスン電子)と3位(SKハイニックス)を擁するからだ。世界の市場占有率も20%水準だ。世界的なデジタル転換期に、韓国の半導体は必要不可欠な材料なのだ。

歴代政権は半導体産業の地位を維持するために多様な努力を傾けてきた。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領も例外ではない。特に高級人材の重要性を認識して全方向的な規制撤廃を推進中だ。

半導体の競争力は結局、技術だ。優秀な人材が休まずに挑戦し、思う存分仕事ができてこそ、その企業は世界市場で先導的な位置を死守することができる。

ところが問題が発生した。半導体分野で働く優秀人材が十分に供給されないのだ。1年に3000人の専門人材が足りないという。その技術者も世界水準の技術現場にすぐに投入されるには知識と経験が不足している。

なぜ世界最高の会社が最高の待遇を約束しても必要な人材を確保できないか。大韓民国の大学が人材を養成する人的・物的資源を備えていないためだ。世界で最も教育熱心な韓国で、大学の競争力が低いとは信じられないかもしれないが、これは厳然な事実だ。

最近発表された世界大学ランキングで、100位圏中に入るのは5、6校にすぎない。このような水準で世界レベルの半導体技術を保有することは、別の見方をすれば奇跡も同然である。

なぜ韓国の大学競争力はこのように低いのか。国家と民間が最小限の投資すらしなかったためだ。国の奨学金4兆ウォンを含む12兆ウォン規模の高等教育予算は大型私立大20校の予算の合計にすぎない。

産学協力のための事業の一環として76校に3025億ウォンを配分したが、基礎設備の電子顕微鏡1台が数十億ウォン程度で、この予算でまともな産学協力は期待し難い。政府の支援金を1年に約5000億ウォンももらうソウル大でもやっと世界30位圏なのだ。

半導体だけだろうか。二次電池(充電池)、ディスプレー、モビリティーなど韓国が保有する世界水準の企業も同じことだ。コロナ禍で自国中心主義の傾向はより強くなっており、中国を中心に技術の格差は急速に狭まっている。今の技術競争力を牽引(けんいん)してきた努力が10なら、今後注がなければならない努力は100でも足りない。大学が今より一段階高い水準の人材を輩出できなければ、技術強国から一瞬にして押し出されることになる。

国民の血税で運営される教育部は大韓民国の持続可能な発展のために技術競争力の確保に役立つ高等人材の養成を最優先課題とすべきだ。大学の成長は即、国家の成長であることを認識し、競争力のある大学に全方向的な支援を惜しんではならない。世界一の会社は世界一の大学の人材があってこそ、その位置を守ることができる。

(金重白(キムチュンベク)慶煕大教授、6月28日付)

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