教師が授業中に尹大統領批判 北追従の韓国版日教組が跋扈

脱北者「歴史教科書、北と類似」 組合教師7割の新設校も

5月17日、韓国会合で「全教祖OUT」のスローガンを掲げ、記者会見に臨んだ保守系教育監候補たち(韓国のテレビから)

韓国で今月初めに実施された統一地方選挙では、全国17主要市・道の教育行政を仕切る教育監の選挙が同時に行われ、北朝鮮に追従し、日米を敵視する偏向的な理念教育で知られる全国教職員労働組合(全教組)の問題が改めてクローズアップされた。選挙では過半数の革新系候補9人が当選、このうち6人が全教組出身で、教育の左傾化に歯止めをかけにくい状況が続きそうだ。(ソウル・上田勇実)

「全教組の先生たちに共通するのは政治偏向で、1980年代の(左翼)学生運動の考え方をいまだに抱いていること。今の韓国を事実上の植民地状態と見なし、ここから脱する闘争が必要だと主張する。世の中は変わったのになぜ同じ話を繰り返すのか理解に苦しむ」

今回の教育監選挙に「全教組教育OUT」というスローガンを掲げて出馬した、元保守系国会議員の趙全赫氏は、韓国メディアのインタビューに全教組の問題点をこう指摘した。

4年前の前回選挙では17市・道のうち実に14カ所で革新系教育監が当選した。親中朝・反日米路線の文在寅政権下だったこともあり、「全教組が望む教育方針が現場に反映されやすかった」(保守系教育団体関係者)。これに危機感を抱いた趙氏は、他の保守系候補と連帯して「全教組OUT」を広く訴えた。

選挙結果は保守系が躍進して8カ所で勝利したものの、依然として革新系が過半数を維持し、全教組出身者も多数当選した。ソウル教育監の場合、保守系候補が乱立し、革新系で選挙法違反容疑が持たれる現職の3選を許した。韓国の公教育は依然として全教組の影響下から抜け出せないのが現実だ。

革新系教育監はどのようにして全教組の勢力を広めようとしているのか。全教組の弊害を訴えてきた市民団体「全国学父母団体連合」の李信嬉共同代表はこう指摘する。

「まず革新学校と呼ばれる指定校を造り、そこに全教組の教師を優先的に配置してきた。私が住むソウル市南部のある小学校は新たにアパート団地ができたのに伴い新設されたが、露骨に全教組教師を送り込んだと聞き、実際に行ってみると校長をはじめ約7割が全教組の所属だった」

李共同代表によると、最近もソウル市内のある中学校で全教組所属の教師が2年生の歴史の授業中に「尹錫悦のような犯罪者が大統領になった。皆間違った投票をした」と公然と尹氏を批判したという。

また韓国に定着した脱北者に韓国の中・高等学校歴史教科書を見せたところ「おおっぴらに称賛しているわけではないが、微妙な表現で北朝鮮を美化する内容が多く、まるで北朝鮮の教科書を見ているようだと言っていた」(李共同代表)という。

全教組は先日、韓国の女子中学生2人が在韓米軍の装甲車に轢(ひ)かれて死亡した事件から20年になるのに合わせ、反米感情を煽(あお)る組合員向けオンライン教育を実施した。また2000年6月に北朝鮮が自国主導の南北統一合意文書と位置付ける南北共同宣言が発表されたことにちなみ、「今月の図書」として『教室で出会う平和統一教育24の方法』などを推薦している。

近年、現場の教師たちは、その理念志向を敬遠して全教組離れが進んでいるとも言われるが、全教組は所属教師たちへの「思想教育」を事あるごとに繰り返している。

文政権下で南北首脳会談や米朝首脳会談が相次いで行われ、朝鮮半島に融和ムードが広がっていた2019年夏、全教組は創立30周年を記念した組合員向けの討論会を開いた。そこで主題発表した全教組のある本部幹部は次のように述べている。

「ろうそく革命で朴槿恵を引きずり下ろし、次は土着倭寇(韓国保守派)を引きずり下ろし、米国による隷属構造を断ち、民衆が権力を握る時代を開かなければならない課題が残っている。(中略)われわれが民族民主人間化教育を目指すのは教育と社会の根本的変化を目指すことだ」

昨年末現在、小・中・高校をはじめ全国教員の総数は約50万人。このうち全教組所属の教員は5万~6万人と言われ、全体の1割程度だ。しかし、「悪貨は良貨を駆逐す」の諺(ことわざ)通り、少数派ながら戦闘的で政治志向の強い全教組による現場への影響は大きいようだ。