米韓首脳 中朝への弱腰改めた尹氏 【解説】

21日、ソウルの新大統領府での首脳会談後、共同記者会見に臨むバイデン米大統領(左)と韓国の尹錫悦大統領(AFP時事)

韓国の文在寅前政権が推し進めた北朝鮮に対する一方的擁護、米中覇権争いの中で目立った中国への低姿勢を、今月就任したばかりの尹錫悦大統領がきっぱり改めたことが今回の米韓首脳会談での最大の成果だろう。韓国は失われつつあった米国の信頼を取り戻す契機をつくったと言える。

共同声明には、対北抑止の強化に向け米国の韓国に対する核戦力を含む拡大抑止や文前政権下で縮小された米韓合同軍事演習の拡大、さらには日米韓3カ国の協力確認などが盛り込まれた。北朝鮮が7回目の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を「いつやってもおかしくない」(韓国国家情報院)中、米韓が断固たる姿勢を打ち出した意味は大きい。

名指しは避けたものの中国牽制(けんせい)を鮮明にさせたことも目を引く。尹氏は「脱中国」を掲げる半導体供給網など経済安保を強化するため、米国が提唱するアジア諸国との連携であるインド太平洋経済枠組み(IPEF)について「協力」を約束し、安全保障のおける日米豪印4カ国による戦略的枠組み(クアッド)にも「関心」を示した。

ロシアによるウクライナ侵攻に伴い国際社会が中国による台湾侵攻の可能性に一段と関心を寄せる中、バイデン米大統領と尹氏はインド太平洋地域の核心的安保課題として「台湾海峡の平和と安定維持の重要性」を挙げた。中国の反発や経済報復を恐れ、踏み込んだ言動を避ける傾向にあった文前政権の路線と決別した形だ。

バイデン氏は、中朝を牽制し日米韓連携を復元するという韓国の明確なメッセージを土産にきょう日本を訪問する。米国を介した日韓の安保協力は修復する可能性が出てきた。

(編集委員・上田勇実)