トップ国際朝鮮半島【韓国紙】米か、中国か 注目浴びる韓米首脳会談

【韓国紙】米か、中国か 注目浴びる韓米首脳会談

16日、ソウルの国会で演説する韓国の尹錫悦大統領(AFP時事)

同盟の青写真づくりを

韓米首脳会談が21日に行われる。尹錫悦(ユンソンニョル)政権が発足してわずか11日目だ。閣僚の国会聴聞会や大統領執務室の移転などでゴタゴタしている時に最大の外交行事が行われるのだ。その上、今回の首脳会談は重大懸案が多く国際社会の注目を浴びる。

韓米両国は北朝鮮の挑発への対応を最も重要な議題に挙げている。北朝鮮が一連のミサイル挑発に続き、首脳会談に際して第7回核実験で韓米同盟を試すのではないかという心配もある。首脳会談では連合防衛態勢の再建など、韓米同盟強化に関する多様な議論がなされる見通しだ。経済安保に関する協力を模索するのも重要な議題だ。

バイデン米大統領の最大関心事は中国牽制(けんせい)にある。中国の経済的な影響力拡大を防ぐために米国が主導する「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)の発足が可視化しつつある。尹錫悦大統領は16日の国会施政演説で、「バイデン大統領とIPEFを通じたグローバル供給網の協力強化策を議論する」と述べ、IPEFへの参加を示唆した。

これに対して中国が敏感な反応を見せている。中国官営メディアは、「中国と韓国の経済貿易関係を深刻に害する」とし、「中国の正面対抗を触発する恐れがある」と脅すこともした。韓国は新しい経済安保秩序に能動的に参加しなければならないが、付随的な摩擦を避ける知恵も絞り出さなければならない。

就任前に発表した「尹政権の110の国政課題」では6大国政目標の一つに「自由、平和、繁栄に寄与するグローバル中枢国家」を提示。各論では韓米関係と関連し「包括的な戦略同盟としての全方位的協力の地平拡大」を最初の課題に挙げた。政府はこの目標と課題をどのように達成するのか指針づくりを急がなければならない。

今回の首脳会談で尹政権の外交力が露呈する。尹大統領は首脳会談の準備に没頭すべきだ。まず、韓米関係をどんな方向に導いていくのか青写真を描いて原則を立てなければならない。これを土台に会談で、すべき話、すべきでない話を区分し、話すべき言葉の程度を定めなければならない。不必要に周辺国を刺激する愚を犯してはならない。新政権発足と同時に移転した龍山大統領室庁舎で初めて首脳会談が開かれるだけに、儀典でも遺漏がないようにしなければならない。

尹大統領の首脳外交の第一歩となる今回の会談は、両首脳が息を合わせて主要懸案への共感を形成し、韓米同盟の未来に対する明確なメッセージを出すことだけでも意味がある。国家利益を極大化できる外交空間を広げていくことに焦点を合わせることが望ましい。韓米通貨スワップ協定などで国民が体感できる結実を得るならば“錦の上に花を添える”ことになる。

(朴完奎(パクワンギュ)論説委員、5月17日付)

【ポイント解説】政策リセットの号砲に

バイデン米大統領の韓国訪問は文在寅政権が進めてきた「従北親中」「反日離米」政策のリセット開始の号砲になるだろう。何よりも米韓同盟の再確認、対北朝鮮政策、対中国政策の調整は韓国新政権の旗色と方向を鮮明にする。韓国が“本来の位置”すなわち民主主義、資本主義経済の陣営に軸足を置くことを示す信号弾ともなる。

韓国は何事にも序列と順位を気にする。米大統領の東アジア歴訪で“日本を差し置いて”最初に韓国を訪れる点は大いに自尊心を満足させるだろう。事実一部のメディアでは「日本より先に」と報じていた。

だが、今回は以前のようなライバル心剥き出しのこだわりは感じられない。一つには訪韓の後に“メイン”の日米首脳会談、クアッド首脳会議が控えているからだ。ソウルは「そのついでに寄った」感が否めない。また自ら獲得した外交的成果でもない。米国としては対中包囲網を話し合う上で事前に韓国の考えを確認しておく必要があって寄るのだ。

しかも「日本より先」と浮かれている場合でもない。記事にあるようにバイデン大統領の関心事は対中関係で、これまでの韓国のように「あいまい」戦略を続けられるとは見にくい。対中包囲網に加わるよう求められでもしたら、韓国としては厄介な課題を背負うことになる。だから、発言は慎重に、すべきでない話はせず、そして周辺国を刺激しないようにと、同紙はクギを刺しているのだ。

もともと地政学的位置から歴史的に難しい対応を迫られてきた朝鮮半島である。今日、自由、人権、言論の自由など基本的価値を共有する陣営にいるとはいえ、経済的依存度も高く、軍事的にも巨大な中国を無視していけるわけもない。

ただ、対米、対日関係を堅固にすることが中国や北朝鮮の脅しや圧力に屈しない堅固な政府を作る道だ。対米関係を整理し、対中関係で毅然(きぜん)とした態度をとれるようになれば、対日関係は自動的に普通に戻る。それが推進できる国内基盤を堅固にすることがまず第一だろう。

(岩崎 哲)

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