【韓国紙】BTS、軍入隊の意向に変化か?

軍のイメージ、写真はアメリカ軍(Image by Defence-Imagery from Pixabay)

特例めぐり多くの発言

防弾少年団(BTS)は2013年デビュー以来、いつも「メンバー全員が軍隊に行く」と公言してきた。ところが最近、BTSが兵役問題を所属会社に一任したことが分かり、考えが変わったのではないかと危惧されている。

19年4月21日には、米CBSとのインタビューでメンバーのジンは、「軍入隊は韓国人の当然な義務」と語り、「いつかくる国家の呼び出しに応える準備をしており、最善を尽くす」と述べていた。ところが最近、所属事務所ハイブが事実上、政界に兵役特例を注文するような姿勢を見せると、ファンたちの間で「考えを変えたのではないか」という話が出てきた。

ハイブのイ・ジンヒョン最高コミュニケーション責任者(CCO)は今月9日、米ラスベガスで記者会見し、「国会で係争中の兵役法改正案が早急に結論が出ることを願う」と語り、「BTSが空白なく活動を続けられることを願う」「現在の動力を維持しながら、どこまで成長できるか確認したいし、その終わりを共にしたい」と表明した。

この発言は大統領職引き継ぎ委員会の安哲秀(アンチョルス)委員長らがハイブを訪問した1週間後に出てきた。引き継ぎ委の申容賢(シンヨンヒョン)報道官はハイブ訪問前日の1日、「本当に優秀な芸能人に対して兵役特例を提示するべきではないかとの話は十分にあり得ること」と語っていた。

国民の力の成一鍾(ソンイルジョン)議員は11日、「(兵役法改正案を)4月中には終えるつもりで推進している」と明らかにした。

こうした動きに対して、一部では「BTSはじっとしているのに政界が煽(あお)っている」という指摘が出ている。18年、河泰慶(ハテギョン)正しい未来党議員(当時)が初めてBTSの兵役特例を持ち出すと、ファンたちは、「誰が免除してくれと言ったか」と反発。「政治にBTSを利用するな」といった非難がネットに溢(あふ)れたことがある。

河議員の意見に同調していた安敏錫(アンミンソク)共に民主党議員も、批判の声が高まると「アスリート、純粋なアーティストは兵役特例の対象になるのに、芸能人はならないことに対して、公平性問題を提起し(BTSを)一例として挙げたもの」と後退した。

一方で、20年10月、金鍾哲(キムジョンチョル)正義党代表候補(当時)は、「立派なアーティストに対する兵役特例に終わるのでなく、青年たちの軍服務期間に対する真剣な議論に進まなければならない」と主張した。

料理評論家の黄橋益(ファンギョイク)氏は18年、BTS兵役特例論議について、「国威宣揚のために勉強し、歌い、踊り、運動し、研究し…ている人がいるのか」とし、「各自の能力に従って自らすべきことをするだけなのに、“世界的に”うまくやれば国威宣揚したと国家で恩恵を与える。これが国家主義だ」と批判した。

(チョ・ソンミン記者、4月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

【ポイント解説】韓国青年に重くのしかかる兵役

韓国では男性は18歳から40歳まで兵役義務があり、19歳時の兵役判定検査で合格になると28歳までに18カ月~21カ月間、陸海空軍や海兵隊に入隊しなければならない。大学の在学中や、卒業と就職の間に兵役を済ませることが多いが、BTSの場合は国内外の功績が認められ現在は30歳まで入隊が延期されている。

これが韓国青年のキャリア形成にとって非常に大きな負担となっている。この間、わずかな手当が支給されるが、勉学・職歴は中断を余儀なくされ、人生設計に大きな影響を与えるのだ。

今回の大統領選でも各候補は給与面での改善など“公約”を出したが、金額を上げれば済むという問題ではない。ハラスメントや自殺者を出す兵営文化、男子にだけ課せられている不平等感、文在寅政府の行き過ぎた対北融和策による国防意識の弛緩等々に加えて、常に出てくるのが免除特例の運営方法の不公平感だ。

五輪大会でメダルを獲得すると免除されることはよく知られている。このほか、アジア競技大会、サッカーワールドカップなどで優秀な成績を収めると、もっぱら競技を続けて技量を保って行くという観点からの兵役免除などが行われる。だが韓国民の受け取り方としては「国威宣揚」へのご褒美的な要素が強いというのが実感だ。

いまやトップエンターテナーとして韓国の名を世界にとどろかせているBTS。彼らも最年長者が今年12月、30歳になる。国威宣揚という点、芸能活動の継続という点から、兵役免除の話が持ち出される。ただ、ここで問題なのは、当人やファンから出ているのではなく、政界から出ていることだ。

当人たちは「いつでも国家の呼び出しに応じる」としているのに、彼らの兵役問題は常に政治家の玩具のように弄ばれるのだ。ファンは「政治利用するな」と反発し、政治の見え透いた人気取り策に呆れる。さまざまな抜け道を使って自身の子弟を逃がす政治家が後を絶たないなか、実のある兵役法改正論議ができるのか。

(岩崎 哲)