北朝鮮への融和路線は強硬路線に、日米韓を安保の基軸に
韓国次期大統領に保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦前検事総長が決まったことで、文在寅政権が最優先にしてきた北朝鮮への融和路線は、強硬路線に転換される見通しだ。尹氏は軍事面を含む日米韓の協力強化を韓国の安全保障の基軸として重視する構え。次期政権では国内で高まる中国への反感を背景に、対中姿勢もより厳しくなりそうだ。
尹氏は「南北関係を元に戻す。主従関係に転落した南北関係を正常化させる」と明言。米韓同盟を立て直し、北朝鮮の核ミサイルを無力化するため、米韓の「拡大抑止」を拡充する方針だ。弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は今後、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射など、軍事挑発をエスカレートさせる可能性があり、過去の保守政権と同様に南北間の緊張の高まりは避けられそうにない。
尹氏は中国に対し「相互尊重の新たな協力時代を開く」と訴える一方で、現政権よりも強く対応する方針を示唆しており、中韓関係は一層ぎくしゃくする見通し。中国を念頭にした日米豪印の連携枠組み「クアッド」への参加や、迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への追加配備も視野に入れる。
THAADをめぐっては、保守系の朴槿恵政権(2013~17年)時代に配備が決定し、中韓関係が冷え込んだ経緯がある。余波は今も残っており、新政権がTHAADの追加配備などで米国と軍事的な緊密度を高めれば、中国の反発は必至。対中依存度が高い韓国経済への影響をにらみつつ、難しいかじ取りを迫られる。(ソウル時事)