【韓国誌】世代の戦いとなった韓国大統領選

候補者間の明確な優劣付かず、若年層の選択が当落を左右


韓国大統領選まで1カ月を切った。まだ候補者間での明確な優劣が付いていない。支持率トップが常に入れ替わるのも、今回の選挙の特徴である。

新東亜(2月号)が「データで見た民心」として、世代別の投票行動から、今回の選挙を分析している。

韓国記者協会主催放送6社共同主管2022大統領候補招待討論会開始に先立ち記念撮影する候補者(韓国国会写真取材団)
韓国記者協会主催放送6社共同主管2022大統領候補招待討論会開始に先立ち記念撮影する候補者(韓国国会写真取材団)

まず世代ごとの有権者割合を見てみる。20~30代が32%、40~50代が38%、60代以上29%だ。同誌はこのうち、「60代以上は保守指向で国民の力の尹(ユン)錫悦(ソンニョル)支持層が厚い。40~50代は進歩指向で共に民主党の李(イ)在明(ジェミョン)支持層が多い。結局、20~30代の選択により大統領当選者が決定される」と分析している。

かつて、韓国大統領選といえば、「地域対立」が下敷きになっていた。嶺南(ヨンナム)(慶尚道地域)と湖南(ホナム)(全羅道地域)の対決で、大票田のソウル首都圏は地方出身者が多く、これを反映し、忠清道がキャスチングボートを握る、という展開だった。

今でも地域感情は残っているものの、次第に、保守対左派の理念対立構図になり、盧(ノ)武鉉(ムヒョン)、文(ムン)在寅(ジェイン)両大統領は慶尚道を地盤としながらも、全羅道の左派票をまんべんなく取り込むなど、地域から理念に枠組みが変わってきていた。

この理念も前述のように世代によって傾向があるが、「2030世代」と呼ばれる若年層では大きな変化が見えている。2017年の「ろうそくデモ」に参集して、朴(パク)槿恵(クネ)大統領を弾劾に追い込み、文在寅を選出した頃、若年層の大部分は左派政党を支持していた。この傾向は19年まで続く。

それに変化が現れたのが同年の「曺国(チョグク)事態」である。文大統領が法務長官に指名した曺国に、本人と家族の数々の疑惑が浮上した。曺国の後任となった秋(チュ)美愛(ミエ)と、政権の不正を暴き始めた検事総長尹錫悦のバトルを経ながら、若年層の支持が次第に民主党から離れて行った。

これは若年層の理念性向が保守になったというより、「不正を働く曺国とそれを庇(かば)う文在寅とその政党」を見限ったのであり、対案として尹錫悦、そして彼を担ぐ国民の力へ支持が回ったと見るべきだろう。

若年層は「公正な社会」を求めている。文政権で広がった社会の格差、不正を正す者ならば、理念は関係ないのかもしれない。同誌にはこの点への言及がなかった。(敬称略)
編集委員 岩崎 哲