トップ国際欧州再出馬の右派ルペン氏優勢―仏大統領選 有罪判決抱え不安要素も 中道・左派候補一本化が焦点

再出馬の右派ルペン氏優勢―仏大統領選 有罪判決抱え不安要素も 中道・左派候補一本化が焦点

7日、フランス・パリの裁判所に到着した極右野党・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン前党首(EPA時事)

フランスでは来春に予定される大統領選まで1年を切る中、右派・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏(57)が改めて立候補を表明した。公金横領罪でパリ控訴院による減刑の判決を受け、ルペン氏はジョルダン・バルデラ現RN党首(30)を伴い、選挙運動を本格化した。ただ、ルペン氏への逆風は強く、与野党の中道右派や左派勢力がそれぞれ候補者を一本化すれば勝敗は不透明なままだ。(パリ安倍雅信)

■「極右」からの転換

大統領選まで1年を切ったフランスでは、各政党・政治勢力で候補者選びが本格化している。マクロン大統領が率いる中道の再生党(ルネサンス=RE)と同じ与党陣営に属するオリゾン党の中道保守派、エドゥアール・フィリップ党首(55)が立候補を表明し、有力候補の一人と見なされている。フィリップ氏はマクロン第1次政権(2017~20年)で首相を務めた。

さらに、中道右派の共和党(LR)は、党首のブリュノ・ルタイヨー元仏内相(65)が出馬を表明している。ルタイヨー氏は党内きっての保守派で、移民・治安対策強化で有権者の期待を集めている。最終的に中道のREとの歩み寄りにより候補者を一本化できるかがルペン氏当選阻止の鍵を握るとみられる。

一方、左派勢力では、かつては既存大政党だった中道左派・社会党(PS)が単一指名候補を決めていないが、党第1書記のオリビエ・フォール氏などの名前が挙がっている。また、急進左派の不服従のフランス(LFI)は創設者のジャンリュック・メランション氏が出馬表明しており、メランション氏が第2回投票に残った場合、左派が結集するかが鍵を握る。

そこに下院で単一政治グループとしては最多の122議席(全577議席中)を占める右派RNは、過去にない政治勢力となっている。最新の情勢調査で大統領選第1回投票ではルペン氏は最も優勢な候補の座を獲得し、2位のフィリップ氏(20~25%)を大きく引き離している。

1970年代に父のルペン氏によって創設された極右政党・国民戦線(FN)は、弱小政党から確実に支持基盤を拡大し、娘のルペン氏に受け継がれた。党名も変更し、過激な移民排撃やネオナチとの関係など悪魔化した極右の負の遺産を払拭し、庶民に寄り添った手厚い福祉政策を打ち出した。今は政権政党への脱皮を狙う議会第1党にまで上り詰めた。

■人気高い首相候補

仏政治のアナリストらは、中道右派、中道左派が候補者を一本化できなければ、第2回決選投票で「RNの大統領誕生」の可能性は極めて高いと指摘している。ルペン氏が選出されれば極右の流れをくむフランス初の女性大統領が誕生することになり、その場合はルペン氏が首相への任命を約束しているバルデラ氏が、歴代最年少の30歳で就任することになる。

ルペン氏は父親時代の政治路線を大きく変更したとはいえ、フランス人優先主義、主権国家としての自立性を備える「国民国家」を取り戻す路線は維持している。さらに移民の大幅削減、不法滞在者への厳格対応、国境管理強化、イスラム主義への規制強化のほか、欧州連合(EU)についても脱退ではなく、EUの権限を大きく制限し主権を取り戻すことを目指している。

ルペン氏が支持を伸ばしてきた背景には、父親からの流れをくむ「グローバル化で見捨てられたフランス人を国家が守る」約束をしていることにある。「フランスがフランスでなくなった」という言葉は、この10年、よく巷(ちまた)で聞かれた言葉だ。「国家、国民を取り戻す」スローガンはフランスの有権者に支持されている。

ただ、ルペン氏の今後には不透明さもある。減刑されたとはいえ、有罪判決を受けた事実は消えていない。破棄院(最高裁相当)に控訴したとはいえ、その結論が出るまでは有罪判決は維持される。仮に来年の大統領選投票日直前の4月上旬に控訴が棄却され、刑が確定すれば、足に電子ブレスレットを着用して選挙を戦う前代未聞の状態となる。

そのリスクを避けるためにバルデラ氏が大統領候補になる「プランB」もあるが、今はその話は静まっている。仮にルペン氏が引き下がり、有権者に好印象を与えているバルデラ氏に代われば、同氏の人気はLRには脅威だ。ただ、苦労してRNを育ててきたルペン氏が引き下がるシナリオも考えにくい。

実際、あと一歩で大統領ポストが見えてきたルペン氏は、若くスマートな政治指導者のバルデラ氏をパートナーにし、至る所に引き連れている。4度目の大統領選に挑戦するルペン氏は、バルデラ氏が自身の弱点を補うのに最適任と考えているようだ。

最新の情勢調査でも決選投票での勝利が予想されるほど過去で最も大統領職に近づいたルペン氏。今後同氏の動向が世界中から注目を集め続けることは確かだ。

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