欧州議会は8日、メキシコと欧州連合(EU)の間で改定交渉が進められていた「新グローバル協定(MGA)」を正式に承認した。2000年発効の協定を全面的に刷新し、現在の地政学的、経済的情勢に対応した新たな2国間枠組みへと移行する。これにより、両者間の関税のほぼすべてが撤廃され、政府調達市場の相互開放や知的財産保護の大幅な強化が進む。今後はメキシコ上院での批准手続きを経て、早ければ年内にも貿易部門が先行して発効する見通し。

現在、メキシコとEUの年間貿易額は800億ドル(約12兆9000億円)を超える。手続きの簡素化やサービス分野の開放により、今後5年間で貿易額は最大30%増加する見込みだ。
メキシコにとっては、先端製造業や自動車、クリーンエネルギー分野へのEUからの投資促進や、生産拠点を消費地近くに移転する「ニアショアリング」により、中長期的に国内総生産(GDP)を0.5%から0.8%押し上げる効果が期待されている。一方のEU側も、ドイツやスペイン、イタリアなどを筆頭に機械や化学、高級品の輸出拡大が見込まれ、各国GDPに0.1%から0.2%のプラスの影響をもたらすとみられている。
世界的に保護主義的な動きが広がり、サプライチェーン(供給網)の再編と分断が進む中、新協定は地政学的にも強いメッセージを持つ。メキシコにとっては、貿易・投資の最大のパートナーである米国、カナダへの依存を分散し、EUを米加に次ぐ投資国とする狙いがある。一方、EUにとっては、貿易の多角化と共に、中南米での地政学的影響力を維持、強化するための戦略的足掛かりとなる。
今後、焦点はメキシコ上院の動向に移る。数カ月以内に手続きが完了すれば、年内にも巨大な共同市場が本格的に動きだす。(ハンソニ・オヘダ)






