「治安の良い北欧」の象徴とされてきたフィンランドだが、そのイメージが揺らいでいる。ヘルシンキ首都圏では未成年による暴力や破壊行為が増え、警察と自治体が対応に追われている。

最近、ヘルシンキ東部で11歳をリーダーとする少女グループが暴行や放火、器物損壊を繰り返していたことが報じられ、衝撃が走った。スマホには犯行を撮影した過激な動画が残されており、社会の不安は一層高まった。
背景として複数の要因が指摘されている。第一は、都市部で進む格差拡大や家庭環境の不安定化だ。教育関係者は「学校や家庭が抱えきれない問題が増えている」と述べ、若者の孤立や精神的ストレスの高まりを指摘する。第二は、SNSの影響で、暴力行為を録画し仲間に「見せる」ことで注目を得ようとする傾向が強まり、暴力より承認欲求が目的化している点だ。
また、事件が移民の多い地域に集中していることから統合政策の課題を懸念する声もあるが、専門家は「問題を単純化すべきではない」と強調する。警察増員や移民政策の変更といった単独の対策では不十分で、学校、家庭、地域、福祉、メンタルヘルス、若者支援を含む総合的な体制づくりが必要だという。
首都圏では夜間パトロールの強化や学校・福祉機関との連携が進み、若者の居場所づくりやメンタルヘルス支援も検討されているが、効果が表れるまでは時間を要する。
静かな街並みの裏で、急速に変化する社会に適応できずに孤立する若者の姿が見えてくる。今回の事件は、北欧社会が直面する課題の一端を示した。(Y)





