トップ国際欧州「眠れる巨人」が覚醒 日本株式市場は魅力的に 欧州専門家

「眠れる巨人」が覚醒 日本株式市場は魅力的に 欧州専門家

 【ウィーン小川敏】ドイツのニュース専門局n―tvのユリアネ・キッパー記者は9日、「日本に全く新しい時代」が始まる、との見出しで、東京株式市場の活況について、単なる史上最高値の更新を超え、長期的に投資家に魅力的であり、「眠れる巨人が目覚めた」状況、と論じた。

 キッパー氏は、フランスを本拠とするグローバル経営コンサルティング会社、アルゴン・アンド・カンパニーの戦略コンサルタント、マーティン・ガイスラー氏のコメントを引用し、半導体受託生産の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が、日本工場の予算を170億ドル(約2兆6300億円)に増額、同社がドイツ工場では計画していない、最先端のハイテク半導体の生産予定に注目した。

 ドイツの資産運用会社、メインスカイ・アセット・マネジメント社のCEO、エックハルト・シュルテ氏もガイスラー氏の見解に同意し、「銀行セクターと伝統産業」の市場への寄与、また明確な「デフレ克服」基調の重要性を指摘した。

 8日に行われた総選挙で、日本では高市早苗首相率いる自民党と、連立相手の日本維新の会との与党で、衆院の3分の2議席を確保した。シュルテ氏は、この圧倒的勝利を「市場の信頼獲得」と結び付けた。ガイスラー氏も与党の明確な多数派形成が「西側民主主義国家で非常に稀(まれ)」で、「株式市場にとって良い」とし、政権がもたらす市場の安定を強調した。投開票日から明けた9日、円は当初下落した後、持ち直している。

 シュルテ氏は、円安は日本での株高の上昇要因ではあったが、必ずしもそれが決定的要因ではなかった、とした。ガイスラー氏も「円安は触媒」となったものの、「原動力ではない」と述べる。エネルギーと農業を輸入に大きく依存する国は、過度に弱い通貨がリスクとなる。だが日本は世界のテクノロジー業界に、なくてはならない存在となっており、適度な円高なら、直接投資の魅力が損なわれることはないという。

 シュルテ氏とガイスラー氏は、日本の株式市場は過熱どころか、さらなる上昇の余地があるとする。ガイスラー氏は「日本株は長年にわたり過小評価されてきた。今はバブルでなく、数十年にわたる放置からの調整」と述べる。シュルテ氏は、「日本市場は欧州や米国より、投資家に魅力的だ」「経済政策においても柔軟性が高い」とする。

 日本経済は1990年代の大規模な不動産・株式バブルの崩壊後、長年にわたり停滞した。デフレ、低成長、不動産価格の下落、不良債権を抱える銀行危機などが顕著だった。

ガイスラー氏によれば、数十年にわたる経済的周縁化を経て、日本はアジアにおける西側諸国の「最後の安全地帯」としての地位を回復しつつある。「かつての無気力状態から自らを変革、米国との緊密な協力とハイエンド製造業への巨額投資を通じて、日本は問題児から不可欠な避難所へと変貌を遂げつつある」とも述べる。

 日本経済の未来に期待するガイスラー氏だが、株高を短期で終わらせるリスクとして、台湾周辺や南シナ海における「地域の軍事的エスカレーション」を挙げる。

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