
【ウイーン小川敏】イスラエルのネタニヤフ首相は25日、ミリ・レゲフ交通相と共に首相府で、欧州議会の政治会派「欧州のための愛国者(PfE)」所属のハンガリー、フランス、オーストリア、スペインの4カ国、5人の議員らと会談した。
同会派は2024年、ハンガリーのオルバン首相が主導し、同国の「フィデス・ハンガリー市民同盟」、フランスの国民連合(RN)、オーストリアの「自由党」、スペインの「VOX」やイタリアの「同盟」、チェコの「ANO」などが参加して結成された極右・EU懐疑派のグループ。結成時点で84議席を擁した第3会派で、不法移民反対、EUの権限縮小を訴える。さらに加盟国の主権強化を推進していることから、ネタニヤフ政権として、戦略的パートナーシップを狙う動きとみられる。
ネタニヤフ氏は会談で、「ユダヤ・キリスト教文明は攻撃を受けており、それは極左過激派とイスラム主義者との共謀による。理論上のライバルが、イスラエルとユダヤへの憎悪で結束している」と述べた。ナチスとの関連や反ユダヤ主義が指摘されてきた、欧州の極右政党との接触について、レゲフ交通相は「イスラエルが孤独でないことの証明だ。われわれの闘争は、主権、国境、アイデンティティーのためでもある。連携は、国際舞台でのイスラエルの立場の強化に向けた戦略的な動き」と説明した。レゲフ交通相はまた、ネタニヤフ首相率いる与党「リクード」が非欧州圏でPfEの初のオブザーバー会員になる、と発表した。
欧州議会の既存主流派(中道左派)はガザの軍事行動などでイスラエルを厳しく批判、国際刑事裁判所(ICC)は24年、ネタニヤフ氏に戦争犯罪で逮捕状を発出した。PfEは欧州でイスラエル支持の姿勢であり、ネタニヤフ政権にとって「貴重な同盟」。リクード党のPfE参画には、欧州議会内でのイスラエル・ロビー活動強化の狙いがありそうだ。国内左派、ユダヤ教系団体から、「反ユダヤ主義勢力」との接近が批判される中、政権は国際世論の逆風を押し返す戦略を強調する。
イスラエルの主要メディア「エルサレム・ポスト」などは、ネタニヤフ氏による欧州極右との「文明的な共闘」を強調、「欧州に新たな支持勢力を確保」と報じた。反対にリベラル派の代表紙「ハアレツ」は、「ネオナチ的ルーツを持つ政党の正当化は、主流のユダヤ人らを困惑させる」と批判した。






