トップ国際欧州ベルリンで戦後最長の停電 左翼過激組織の放火が原因か

ベルリンで戦後最長の停電 左翼過激組織の放火が原因か

1月7日、ベルリンで発生した停電からの復旧間近を伝えるニュース専門局NTV
1月7日、ベルリンで発生した停電からの復旧間近を伝えるニュース専門局NTV

 都市に電気を送る送電塔が爆発されれば、その周辺は停電となり、市民は暖房や電気がないといった状況に陥る。数時間で停電が回復する場合もあるが、それが4日間も続くとなれば、国にとっても緊急事態だ。それが新年早々、ドイツの首都ベルリンの南西部で発生した。(ウィーン小川 敏)

 ドイツの首都ベルリン南西部で3日朝、4万5000世帯と2200の事業所が停電に見舞われた。カイ・ウェグナー市長によると、影響を受けた人は約10万人に上る。ベルリンは4日に非常事態を宣言した。冬の寒さのため、電力復旧作業は遅々として進まず、多くの世帯が停電のために暖房も使えなくなった。

 7800人の警察官が住民の支援と保護のために派遣され、隣接するブランデンブルク州からも支援隊1500人が動員された。消防署と連邦技術支援庁(THW)は、ノルトライン・ウェストファーレン州からの支援を含め、2500人以上の人員を現場に派遣した。ドイツ連邦軍も関与した。

 7日朝、全世帯への電力供給がようやく復旧した。予定より1日早く回復したことになる。ベルリンのイリス・シュプランガー内相は10日、非常事態を解除した。

 電力会社によると、今回の停電は戦後首都圏で最長となった。昨年9月には、市南東部で放火事件が発生し、約60時間にわたる停電が発生した。この停電では、当初約5万人が影響を受けた。

 今回の停電を巡って左翼過激派グループ「火山グループ」が犯行声明を発表した。同グループは2011年以降、主にベルリンとブランデンブルクでインフラへの放火を繰り返している左翼過激派だ。

 火山グループという名称は、アイスランド南西部のレイキャネス半島の火山爆発で世界の航空便に大きな影響が出たことを見て付けたといわれている。彼らは鉄道インフラや送電網を複数回攻撃した疑いが持たれている。24年3月、ブランデンブルク州のグリュンハイデという町にあるテスラ工場で送電塔が放火され、生産が停止するという事件が起きた。その時も、火山グループが犯行声明を出している。カールスルーエ連邦検察庁は最高法執行機関の観点から、破壊工作、テロ組織への関与、放火、公共サービスの妨害の疑いがあるとして捜査を引き継いだ。

 避難所に宿泊した市民がカトリック教会の慈善団体「カリタス」が用意したスープなど温かい飲食物を受け取っているシーンがニュース番組で放映された。

 放火事件を受け、ドブリント連邦内相はビルト日曜版とのインタビューで、左翼過激派と過激な環境活動家への取り締まりを強化する意向を表明した。具体的には、情報機関の人員増強に加え、現場をより綿密に精査し、デジタル証拠をより迅速に追跡するための権限の拡大が含まれている。また、重要インフラ保護法の強化だ。同法はエネルギー会社、空港などの主要インフラ施設を破壊行為、テロ攻撃、自然災害の影響から保護することを目的としている。事業者は、停電の可能性に備えることも義務付けられている。

 ウェグナー氏は市民が停電の中で生活している時、女性とテニスをしていたことが明らかになり、メディアから激しいバッシングを受けた。ドイツ民間放送ニュース専門局NTVは、「壊滅的な停電の最中、ウェグナー市長は凍えるベルリン市民にろうそくを配る代わりに、ボールを打っていた。自宅オフィスに閉じこもっていたとうそをついた」と報じた。この秋、ベルリンで選挙が実施されるが、「キリスト教民主同盟」(CDU)のウェグナー氏はこの行動が原因で苦戦が予想されている。NTVは「政治家は災害や事故時、慎重に行動しなければならない」と助言している。

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