トップ国際欧州教会の現状に危機感 第2バチカン公会議から60年

教会の現状に危機感 第2バチカン公会議から60年

24日、バチカン市のサンピエトロ大聖堂でクリスマスイブのミサを行うローマ教皇レオ14世(AFP時事)
24日、バチカン市のサンピエトロ大聖堂でクリスマスイブのミサを行うローマ教皇レオ14世(AFP時事)

 2025年、世界に約14億人の信者を抱えるローマ・カトリック教会は、米国出身初のローマ教皇レオ14世を選出した。「聖年」の今年、特別な霊的恩恵を受ける年として、多くの信者がローマに巡礼。また、20世紀の最大の出来事と呼ばれた第2バチカン公会議(1962~65年)が幕を閉じて60年目の節目に当たった。(ウィーン小川 敏)

 第2バチカン公会議は「教会の現代化(アジョルナメント)」を目指し、現代世界との対話、典礼の刷新(各国語導入)、信教の自由、聖書中心主義、教会一致(エキュメニズム)などカトリック教会の近代化を決めた歴史的な公会議だった。当時の教皇ヨハネ23世が公会議を提唱した背景には、教会の閉鎖性、社会からの孤立、教会の影響力の喪失といった教会の現状に対する危機感があった。

 60年が経過し、公会議の熱狂的な覚醒を経験せず、公会議に無関心な新しい世代が育ってきた。教会では聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発し、教会の信頼は地に落ち、脱会する信者が急増した。混乱したポストモダニティーの精神的な空虚の中で、教会は第2バチカン公会議の開催前夜のような危機的な状況にある。

 前教皇フランシスコは教会の現状を憂い、2021年から24年にかけ教会刷新(シノドス)を始めた。シノドスは教会の諸問題を協議する世界代表司教会議であり、共同体の強化を目指す。牧会神学者ポール・マイケル・ズーレナー氏はオーストリア国営放送とのインタビューで、「フランシスコにとって、教会の『シノドス化』は、第2バチカン公会議の教会のイメージの実現にほかならない」と語っている。

 バチカンニュースは、教皇レオ14世が選出された直後の今年5月9日、「レオ14世はカトリック教会史上最も国際的な教皇だ。彼は教皇庁を知っており、その使命、司牧的配慮、一般の人々の心を知り、司教職を知っており、シノドスの意味も知っている」と期待を表明した。

 レオ14世は6月26日、カトリック世界会議の実施に関して前教皇が設定したシノドスの日程を順守することを明らかにしたが、「シノドスの道」は決して平坦(へいたん)ではない。バチカン教理省は2023年12月18日、「司牧的な祝福の意義について」宣言を発し、一定の条件の下で再婚または同性カップルの祝福を認めた。それに対して、特にアフリカのカトリック司教たちの間で激しい批判が巻き起こった。一方、同性愛カップルへの祝福に関するドイツ教会のマニュアルがバチカンの許容範囲を超えていたため、バチカン側がドイツ教会の改革にブレーキをかけるといった事態が生じた。教会改革も行き過ぎはダメというわけだ。すなわち、シノドス推進派の中でも、どこまで教会を刷新できるかでまだ明確なレッドラインが見えないのだ。

 ドイツ司教協議会(DBK)議長ゲオルク・ベッツィング司教は今月23日、公共放送ZDFで「教会は政治的でなければならない。福音のメッセージは政治的であるからだ」と発言している。福音が「単なる個人の救い」を超え、社会正義を求める「政治的」な意味を持つという歴史的・神学的議論を再燃させたわけだ。一種の「信仰の公共性」だ。

 それに対し、バチカン側は「政治的・社会的な正義を追求することは重要だが、それが信仰や福音の本質(祈りや秘跡)を脇に置いて、多数決や社会的なトレンド(時の精神)に流されるプロテスタント的な手法に陥る危険がある」と警告している。

 26年に入り、シノドスがさらに進められていくと、教皇主導の中央集権体制を維持するか、現地の司教会議を中心とした教会運営(非中央集権化)を行うかの選択を迫られるかもしれない。その時、レオ14世は対応に苦慮するだろう。

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