【パリ安倍雅信】10月1日の公開以来、27万5000人の観客動員を記録したフランスのドキュメンタリー映画「サクレ・クール」の上映中止をマルセイユのパヤン市長が命じたことについて行政裁判所は上映再開の判断を下した。パヤン氏は1905年に定められた「ライシテ(政教分離=世俗主義)」に違反していることを理由に挙げていた。
サクレ・クールはフランス語で「聖心」を意味し、ローマ・カトリックのフランシスコ前教皇の4番目の回勅「ディレクシット・ノス(わたしたちを愛してくださった)」にインスピレーションを受けたとされている。
前教皇は回勅で、信仰の優しさ、奉仕の喜び、宣教への情熱を忘れないように呼び掛けた。フランスでは今年の復活祭までで前年比45%増の1万7800人が洗礼を受けるなど、精神復興が起きている。
フランス国鉄(SNCF)とパリ交通公団(RATP)が「布教目的」を理由に宣伝を拒否。パヤン氏が上映中止を命じていた。
行政裁判所は、「特定の宗教の承認を表明するものではない」と指摘、「マルセイユ市長は、表現の自由、芸術創作の自由、芸術普及の自由を重大かつ明らかに侵害し、違法」との判断を下した。フランスでは実質的な信仰実践をしているカトリック教徒は人口の10%を割り込み、無宗教が65%を超える一方、イスラム教徒は1割に達している。





