トップ国際欧州「信教の自由」特使復活を 欧州司教委員会 トランプ政権の宗教政策影響か

「信教の自由」特使復活を 欧州司教委員会 トランプ政権の宗教政策影響か

米ホワイトハウスで行われた信仰局の昼食会に参加したトランプ大統領(右)とポーラ・ホワイト上級顧問=7月14日(UPI)
米ホワイトハウスで行われた信仰局の昼食会に参加したトランプ大統領(右)とポーラ・ホワイト上級顧問=7月14日(UPI)

 欧州連合司教委員会(COMECE)は10月1日から3日までブリュッセルで年次秋季総会を開催し、欧州連合(EU)域外の「信教の自由」担当特使を速やかに任命するよう欧州委員会に要請した。
 特使のポストは2016年に創設され、クリストス・スティリアニデス氏の任期満了(23年)以来、空席となっている。6日に発表された声明では、「特使の空席は迫害を受けている世界中の宗教共同体にとって憂慮すべきシグナルだ」と強調。EU内での反キリスト教憎悪と闘うためのEU調整官の任命を再度求めた。

 声明文によると、「信教の自由は奪うことのできない人権であり、EU基本権憲章第10条に明記されている。この自由は多元的な社会における平和的共存に不可欠である。しかし、世界中で大きな脅威にさらされており、個人、家族、コミュニティー全体に深刻な影響を与えている」と警告している。

 「信教の自由」担当特使の設置について司教たちは、「EUは外交政策において常に人権保護に尽力してきたが、現状では宗教的迫害に適切に対応するための制度的資源が不足している」として、「特使を早急に任命するだけでなく、必要な財源と人的資源、強力なマンデート(権限)を与えるべきだ」と強調、担当特使の復活が不可欠であると主張している。

 欧州議会のアントネッラ・ズベルナ副議長は司教たちとの会談で、「EUは今、さまざまな課題に直面している。その精神的・宗教的ルーツを含め、そのアイデンティティーと自信を再発見しなければならない」と述べている。

 欧州はキリスト教文化圏に入るが、世俗化が加速し、聖職者の未成年者への性的虐待問題が発覚したこともあって、教会から脱会する人が増えている。その一方、中東や北アフリカから難民、移民が殺到し、イスラム教徒との関係は大きな社会問題となっている。

 興味深い点は、COMECEの「信教の自由」担当特使の任命要求がトランプ米政権の「宗教の自由重視政策」の影響を少なからず受けていることだ。トランプ大統領は9月8日、自身がホワイトハウスに創設した「宗教の自由委員会」の公聴会で演説し、「われわれは神の下にある一つの国であり、そうあり続ける」と述べ、「信教の自由」の擁護を改めて強調した。また、「現在、公立学校で信教の自由が、重大な脅威にさらされている」として、祈る権利を保障する、新たな指針を教育省が策定すると発表したばかりだ。トランプ氏は「信仰が弱まると国は弱体化する」と述べ、2期目に入ると早速、ホワイトハウス内に信仰局を設置し、その上級顧問にポーラ・ホワイト牧師を選出した。

 欧州政界では、トランプ氏の「米国を再び偉大な国に」(MAGA)に倣い、右派傾向が強まっているが、トランプ氏の「信教の自由」を重視する傾向もここにきて欧州に波及している。(ウィーン小川 敏)

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