トップ国際欧州オーストリア、銃規制を強化へ 6月に高校で乱射事件 購入年齢を引き上げ 【ワールドスコープ】

オーストリア、銃規制を強化へ 6月に高校で乱射事件 購入年齢を引き上げ 【ワールドスコープ】

銃乱射事件が起きたオーストリア南部グラーツの高校前で犠牲者を悼む人々=6月10日(EPA時事)
銃乱射事件が起きたオーストリア南部グラーツの高校前で犠牲者を悼む人々=6月10日(EPA時事)

オーストリアのカーナー内相は4日、銃規制法の強化案を発表した。6月に発生した銃乱射事件を受けたもので、国民議会で審議し、10月の決定を経て、法案の最初の部分は直ちに施行される予定だ。(ウィーン小川 敏)

法案によると、銃器のカテゴリーB(拳銃、連発散弾銃、半自動小銃)の最低購入年齢は従来の21歳から25歳に、カテゴリーC(ライフル銃または滑腔〈かっこう〉銃)は18歳から21歳にそれぞれ引き上げられる。カテゴリーAは禁止武器および軍需品で、一般国民は購入できない。

銃器は今後、登録販売業者からのみ購入可能となり、個人からの購入はできなくなる。狩猟者やスポーツ射撃者は対象外だ。

また、当局が登録手続き中に精神疾患に関する情報を入手できるようにするとともに、購入後のクーリングオフ期間は3日から4週間に延長される。

同国が銃規制強化に乗り出すことになった直接の契機は、オーストリア南部シュタイアーマルク州の州都グラーツの高校で6月10日に発生した銃乱射事件だ。元生徒が拳銃と散弾銃を持って教室に乱入、銃撃で先生1人と生徒9人が死去し、十数人が重軽傷を負った。容疑者=当時(21)=は犯行後、校内のトイレで自殺した。

警察当局によると、犯行は単独で、容疑者に前科はなく、武器も合法的に犯行直前に購入していた。オーストリアでは18歳以上になれば、武器を購入し、所持できる。

容疑者は武器許可証を持っていた。武器法によると、武器は3分類され、容疑者が所有していた武器はカテゴリーBに入り、購入前には精神科の診察を受けていた。内務省によると、オーストリアでは今年4月現在、約37万人が約150万丁の武器を所有している。

戦後最悪の銃乱射事件を受け、シュトッカー政権は「国家的悲劇」として、銃規制法の強化に乗り出すことになった。

一部のメディアでは、オーストリアは欧州でも銃所有がかなり自由で、銃社会と報じられたが、銃の購入と銃携帯には厳格な武器法が施行されている。ただ、バルカン半島のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の影響などもあって、かなりの武器がオーストリア国内に不法に流れ込んでいる。

なお、政府の銃規制法改正案について、野党第1党の極右政党、自由党は4日、プレスリリースを通じ、「同改正案は国民の自由と市民権への不相応な干渉に当たる。場当たり的だ」と指摘し、反対を表明した。それ以外の政党は改正案を支持している。

オーストリア心理学者協会(BOP)は歓迎する旨を表明した。特に、カテゴリーCの銃器にも臨床心理学的評価を義務付けること、5年ごとの心理的フォローアップ検査の実施、年齢制限の引き上げと定期的な見直し等々を歓迎している。

心理学的適性検査の場合、遡及(そきゅう)適用も可能となる。今年6月以降のカテゴリーBの武器の新規申請はすべて、適性検査を受けることが必要となる。カテゴリーCについては、遡及適用は2年間までとされる。

カーナー内相は記者会見で、グラーツ銃乱射事件を想起し、「オーストリアの歴史における悲劇的な節目だった。社会と政治家にとって、現状維持では済まされないことは明らかだった」と述べている。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »