トップ国際欧州米バチカン関係に懸念 次期米大使にバーチ氏承認 前教皇の路線をたびたび批判

米バチカン関係に懸念 次期米大使にバーチ氏承認 前教皇の路線をたびたび批判

6日、バチカン市で演説するローマ教皇レオ14世(AFP時事)
6日、バチカン市で演説するローマ教皇レオ14世(AFP時事)

シカゴ生まれの米国人ロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)がローマ教皇に選出されて3カ月が過ぎた。米国人の教皇は初めてだけに、「米国を再び偉大に(MAGA)」を唱える米国内の右派は大喜びだったが、長くは続かなかった。初の米国人教皇が「米国第一主義」支持者ではないことが判明したからだ。トランプ支持者で熱心なカトリック信者のブライアン・バーチ氏(49)が駐バチカン大使として就任すると報じられ、波紋を呼んでいる。(ウィーン小川敏)

米上院は2日、バーチ氏の駐バチカン大使指名を賛成49票、反対44票の賛成多数で承認した。

バーチ氏はトランプ米大統領の支持団体の保守系非営利団体「カトリック・ボート」の会長兼共同設立者だ。この団体はカトリック保守派のオピニオンリーダーだ。2022年には米国のヒスパニック系カトリック教徒を代表する「ボト・カトリコ 」を設立した。

バーチ氏は今年4月に逝去した前教皇フランシスコ(在位13~25年)をたびたび批判してきた。特にカトリック教会が23年に発表した「フィドゥシア・サプリカンス」宣言を強く批判している。宣言は、同性カップルなど、教会の教義上結婚が許されていないカップルを神父が祝福することを認めるという内容だ。

バーチ氏はまた、教会の保守派指導者と知られているテキサス州タイラー教区のジョセフ・ストリックランド司教がフランシスコの改革路線を批判したことで解任される動きが出た時、「教皇の政策は伝統的なカトリックの教えから逸脱している」と主張し、教皇の権威を疑問視する発言をしている。

そこで、教皇レオ14世がバーチ次期大使、ひいてはトランプ氏と良好な関係を築けるかを巡って懸念の声が上がっている。

英BBCはトランプ政権1期目で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏のコメントを紹介している。「レオ14世とトランプ大統領の間で摩擦が起きる。ホワイトハウスとバチカンの関係が緊張するだろう。そして最終的には米国のカトリック信者が分断される可能性もある」と不吉な予言をした。

ペルーで長い間宣教師として歩んできたことから、貧者、弱者への思いが深いという点でアルゼンチン出身のフランシスコと類似しているが、相違点も明らかになってきた。

レオ14世は人生の半分を米国外で過ごした。アウグスチノ会を経た後、宣教師としてペルーで24年間暮らし、最初は貧しい農村地帯のチュルカナスで、その後はトルヒーリョで神学校の校長および教会法の教授となり、15年からはチクラヨの司教として歩んだ。フランシスコは23年、プレボスト司教をバチカンに招き、司教省長官に任命し、その直後枢機卿に任命した。その2年後、教皇に選ばれた。

レオ14世はチクラヨの司教時代、ペルーの学校カリキュラムの「ジェンダーイデオロギー」に反対し「存在しないジェンダーを助長する」と主張。21年には、大衆文化における「同性愛のライフスタイル」と同性家族への共感を批判した。ただし、フィドゥシア・サプリカンス宣言については、これまで全面的に支持することも拒否することもしていない。ただ「各国の司教協議会が文化の違いを考慮し、それぞれの地域の状況に応じて、そのような指示を解釈し適用するべきだ」と述べている。

LGBT問題ではレオ14世とバーチ氏ら米保守派との間に大きな違いはないが、明らかに相違がある分野は移民・難民政策だろう。ペルー宣教師だったレオ14世はトランプ政権が進めている難民の強制送還は絶対に受け入れられない。その点、前教皇のフランシスコと同じだ。

バーチ氏は米上院の承認を受け、「米国とバチカンの関係の重要性」を強調した。バチカン宮殿の主人となった米国人レオ14世とトランプ大統領の支持者バーチ次期駐バチカン大使との関係はどうなるだろうか。イタリア・メディアは固唾をのんで見守っている。

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