【パリ安倍雅信】イランとイスラエルの停戦交渉を主導したいマクロン仏大統領を含む欧州連合(EU)がイランとの核開発を巡る協議を始める中、トランプ米政権が22日、イランの核施設への大規模な直接攻撃を行った。そのため、EUは困難な立場に追い込まれている。北大西洋条約機構(NATO)の加盟国である米国の行動決定に他のNATO加盟国が蚊帳の外に置かれたことで、NATO内に深刻な亀裂が生じている。
欧州各国の閣僚らがガザの人道危機を巡りイスラエルを処罰すべきかどうかの議論を始めた矢先、ブリュッセルとイスラエルの関係は極端に冷え込んだ。
米国によるイランの核施設への攻撃は、米国がイスラエル政府の認識を支持していることを表し、EUとの溝は深まる結果となった。EU外務上級代表のカヤ・カラス氏は、イスラエルからの書簡を公表し、対イスラエル外交政策を全加盟国と協議する方針を明らかにしている。ガザ危機を受け、通常はイスラエルに忠実なオランダなどのEU加盟国もイスラエルとの連合協定の見直しを求める声を支持した。
EUとイスラエルのパレスチナ問題を巡る双方の認識の隔たりは大きく、米国、イスラエル双方との緊張関係をどう修復するのか予断を許さない状況だ。