トップ国際欧州露の拡張主義を警告 独情報局長官「NATOの抑止力強化を」

露の拡張主義を警告 独情報局長官「NATOの抑止力強化を」

【ウィーン小川敏】ドイツの対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官は9日、自身のポッドキャストで、ロシアの拡張主義的な動きについて「過小評価すべきでない」と注意を促した。またウクライナはロシアにとって「西側へのほんの一歩にすぎない」「NATO第5条が機能しないことのテストだ」と警告を発した。

NATO第5条には、加盟国が一国でも攻撃を受けた場合、加盟国全てへの攻撃とみなす、集団的自衛権の行使が規定されている。米国同時多発テロ事件(2001年9月)では、加盟国・米国への攻撃と受け取り、NATOは第5条を初めて発動させた。

カール長官は、「ロシアは米国を欧州から追い出したい。そのためにどんな手段も使うだろう。大規模な爆撃、戦車部隊の派遣は必要ない。抑圧されているロシアの少数民族を守るためと称して、エストニアに小規模の軍隊を派遣するだけで十分だ」と述べた。

また、「ロシアとの交渉に期待は持てない。プーチン大統領の攻撃的な姿勢に変化はない。戦争を防ぎ、血を流さない最善の方法はNATO側の抑止力強化だ」と強調した。また最近のウクライナ・ロシア交渉でのロシアによる最大限の要求に言及、「ロシアはウクライナの降伏を狙っているのだ」と指摘した。

トルコのイスタンブールで2日、開催されたロシア・ウクライナ直接協議の2回目、ロシア側(メジンスキー大統領補佐官)がウクライナ代表団(ウメロフ国防相)に提示した3ページの覚書はウクライナ側に全面降伏を要求するものだった。

ロシアがNATO加盟国に侵略した場合、米大統領は自国の兵士を欧州に派遣するだろうか。この点、トランプ大統領は過去、曖昧な発言をしてきた経緯がある。

NATO首脳は今月24、25の両日、本部があるオランダのハーグで会談する。トランプ米大統領も出席する予定で、NATOへのコミットメントが注目される。

BNDのトップがロシアの拡張主義に警告を発することは異例。BNDは今年に入り、新型コロナウイルスについて「武漢ウイルス研究所(WIV)流出説」を裏付ける内容を発表するなど、情報活動を活発化させている。

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