【パリ安倍雅信】5月31日、英仏海峡を小型ボートで渡り、英国に到着した移民が、1日としては今年最大の約1194人となった。ヒーリー英国防相はこの数について「衝撃的」と表現した。スターマー英首相は対米関税交渉でいち早く合意にこぎ着け、その実績が評価される一方、移民問題では実績が出せず、いら立ちを隠せない。
英政府データを基に仏AFP社が行った集計によると、今年1月から5月に英仏海峡経由で英国に渡った移民総数は1万4808人。英仏両政府はさまざまな対策を講じているが、仏北西部沿岸から英南東部を目指す英仏海峡ルートが注目され、2018年の統計開始以来、同期間で最高を記録した。
英国への純移民数は2024年に43万1000人と、前年の86万人から半減した。一方、同期間の亡命申請者数が8万人から9万5000人に増加した。不法移民の数も増加している。
スターマー氏は今月、新たに厳格な移民政策を発表。その中には、移民が永住権を取得するまでの期間を2倍に延ばすことや、外国人犯罪者を強制送還する条項が盛り込まれている。