トップ国際欧州安楽死合法化法案が可決 仏下院 カトリック教会は強く批判

安楽死合法化法案が可決 仏下院 カトリック教会は強く批判

【パリ安倍雅信】フランスは27日、国民議会(下院)で安楽死合法化法案を過半数が支持し、上院に送られた。305人の議員が「重病を患う成人患者が希望する場合の安楽死の権利」を認める法案に賛成、199人が反対票を投じた。厳格な条件の下、自らの命を絶つことを認める方向へ進む西欧諸国が増える中、フランスもその流れに加わった形だ。

カトリック教会をはじめ、安楽死に反対する人々は、こうした法律が、若者や精神疾患を抱える脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々を危険にさらす可能性があると強く批判している。

同法案の対象となる患者は18歳以上で、フランス国籍または永住権を保有している必要があり、生命を脅かす「重篤かつ不治の病」を患い、「進行期」または「末期」の段階に達している必要がある。

また対象患者の苦しみは、身体的であれ精神的であれ、「耐え難く」または「治療が困難」であるとみなされなければならない。患者は自己投与が不可能な場合を除き、致死性の薬剤の自己投与が必要。最終的な判断は各患者の担当医が行う。同法案には、患者の病状を専門とする少なくとも1人の医療専門家に加え、患者の治療に関わった医療従事者への相談も義務付けられている。

医学的研究も裏付ける、患者本人の意思の変化を根拠に、カトリック教会では安楽死を本人の意思と断定するのは困難との意見も根強い。

欧州ではオーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、オランダ、スペインで、既にさまざまな形で安楽死が合法化されている。英国でも合法化に向け、法案が最終段階にある。

フランスの法案は今後、保守派が多数を占める上院で審議される。そこでは条項の修正や削除の可能性もある。法案成立を公約としたマクロン大統領は、国民投票に問う可能性も示唆しているが、憲法専門家はその合法性に疑問を呈している。

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