トップ国際欧州次期教皇、アフリカ出身へ期待 過去に3人、最後は1500年前

次期教皇、アフリカ出身へ期待 過去に3人、最後は1500年前

27日、ローマのサンタマリアマッジョーレ大聖堂に埋葬されたフランシスコ・ローマ教皇の墓の前で列を成す枢機卿ら(EPA時事) (了) ・

カトリック教会の最高指導者フランシスコ教皇の死去により、次期ローマ教皇に誰が選出されるかに注目が集まっている。教皇選出のための選挙会議コンクラーベが始まる中、アフリカ出身の教皇を期待する声も広がっている。(長野康彦)

世界のカトリック教徒の人口は2022年の時点で13億9000万人で、現在では14億人を超えているとみられる。特に多いのは南北米大陸の5億2000万人で、全体の約48%を占める。急速に信者数の伸びを記録しているのがアフリカで、23年には2億8100万人に達し、全体の20%を占めるようになった。欧州は2億8000万人、アジアは1億700万人だ。

後継者争いには71カ国135人の枢機卿が投票権を持ち、健康上の理由で欠席する2人を除く133人が投票に参加する。アフリカからはコンゴ(旧ザイール)のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿、ガーナのピーター・タークソン枢機卿、ギニアのロバート・サラ枢機卿の3人が名を連ねている。中でもピーター・タークソン枢機卿は13年、教皇ベネディクト16世が退位を発表する前からアフリカ出身の教皇候補として注目され、今回も最有力候補の一人とみられている。

アフリカ出身の教皇はこれまで3人いるが、最後の教皇ゲラシウス1世は1500年以上も前のこと。信者数が急成長していることからしても、そろそろアフリカ出身の教皇をという声も強い。

アフリカではコンゴが最大のカトリック教国で、国民の半数以上に当たる5500万人がカトリック教徒だ。ナイジェリア、ウガンダ、タンザニア、ケニアなどの国々でも信者数が大幅に増加している。

フランシスコ教皇は在位中にアフリカ10カ国を訪問し、アフリカでのカトリック教徒増加に貢献したとみられる一方で、LGBTQ問題を巡ってはアフリカの教会から反発を受けた。

多くの国で同性愛が非合法とされているアフリカ大陸の司教たちは、司祭が同性カップルに祝福を与えることを認めた23年のフランシスコ教皇の宣言を拒否。上記の3候補とも同性愛には明確に反対の立場で、ギニアのサラ枢機卿は同性愛を、思想的にはナチス・ファシズムや共産主義と同じとまで述べている。

庶民的な人柄で「貧者弱者のためのカトリック教会」のイメージを取り戻したフランシスコ教皇であったが、LGBTQ問題に加えて、人権問題等で非難を浴びる中国に対して融和的姿勢を見せたことを批判する人も多い。

18年にはバチカンと中国との間で、中国内の司教任命権を中国政府に委ねる合意がなされた。自身もカトリック教徒で麗澤大学准教授のジェイソン・モーガン氏は著書『バチカンの狂気』で、バチカンは中国から毎年20億㌦の資金提供を受けていると指摘。特にフランシスコ教皇の時代からカトリック教会は「グローバリストと共有する左派の価値観を、左翼メディアのサポートを受けて世界中の人々に押し付けてきた」とし、とりわけバチカンは「反社会的、反人道的であり、グローバリストに仕える組織」となってしまったと述べている。

バチカンは長年、聖職者による未成年者への性的虐待にも目をつぶってきた。イタリアのカルロ・マリア・ビガノ大司教はこうしたバチカンの隠蔽(いんぺい)体質やカトリック教会内部の問題を暴露し、フランシスコ教皇を「サタンの僕」と呼ぶなど、教会改革を目指して鋭い批判を展開したが、昨年「教会分裂の罪」で破門された。

バチカン、そして全世界のカトリック教会が抱える問題に対処できる教皇が生まれるのか。7日、コンクラーベが始まる。

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